第三百十話 どうしたい? 魔王しかいない!
「さぁて! これから魔王と戦うぞ! なぁに! 私たちの超々鍵スキルなら行けるさ!」
……俺たちの超々鍵スキル、か。
魔王のコピーは倒せたわけだし……行けるのかな。
「なぁ、昇!」
「……何?」
「魔王を倒したらどうする?」
「どうするって……」
正直、よくわからない。
倒したら……どうなるんだろう?
そういえば少し気になるな。
「なぁ、魔王倒したら、このダンジョンってどうなるの?」
そうだ、ダンジョンにとって魔王は言わば元首とも呼べる存在。
そんな存在を消したら、ヤバくなりそうな気がするのだが……。
「魔王が死んだら……またダンジョン内で元首争いが起き……『数日もしないうちに新たな魔王ができる』」
「……そんなに早く!?」
「そうだ……あ、今思い出したんだが、その影響で魔王を倒したらすぐに冒険者ギルドに連絡を入れないといけないぞ、魔物の気性が荒くなって、1階層であっても一般人が入るのが危険になるからな」
「あぁー……つまり、連絡を受けてダンジョンを一旦閉じるわけか」
「その通りだ」
学校でそのことはまだ習っていなかったので、休校の間にその話を聞けるのはかなり為になる。
「でもそれって他の冒険者の人に迷惑掛からない?」
「大丈夫だ、ここ以外にもダンジョンはたくさんあるし、それに、今このご時世で行く事ができるダンジョンが数日減ってもなんも変わらないだろう?」
「まぁ……そうだけど」
「とにかく、行くぞ! ……心の準備はできたか?」
「……あぁ!」
俺は立ち上がり、ダイヤルキーを取り出す。
『ダァーイヤルキー!!』
「「超々スキルチェンジ!!」」
『『超々!! 鍵スキル!!』』
超々鍵スキルへと変身した俺たちは、第15階層へと足を踏み入れた。
◇
「……モンスターがいないな」
「あぁ、ここには魔王しかいない」
「どんな奴なんだ……確かここの魔王はスライムだよな? 超デカいスライムとか?」
「私にも見当がつかん」
シェダルにも見当がつかないのか……本当にどんな奴なんだろうか……すごく怖い……。
「そうビビるな、私がついているだろ?」
「そ、そうだけど……」
「そうこうしているうちに、ほれ」
「え?」
シェダルが左手を動かし、向こうを指差した。
その先に見えるのは……。
「……なんだありゃ」
安息の地の入り口のような、大きな扉だった。
しかも、そこから微かに光が漏れている。
ありゃなんだ?
「恐らくあの先に魔王がいるぞ、昇」
「ま、マジ……? まだ心の準備が……」
「つべこべ言ってないで、行くぞ!」
「お、おい!」
シェダルが足早に体を動かし、扉に手を掛けた。
一体この先には何が……。
「こ、これは……」




