第三百四話 鎧を破壊、肘に攻撃
『格闘スキル!』
「スキルチェンジ!」
「スキル解放! 殴りすぎる! 格闘スキル!」
俺は格闘スキルに変身する……下を見ると、金色の道着に身を包み、シェダルと同様、手にメリケンサックを装備していた。
「よし! 一緒に肘に向かって攻撃するぞ!」
「おう! ……でもあんな馬鹿デカい奴の肘までどうやって……」
俺が困惑している間に、奴は再び棍棒を振り回す。
俺たちはそれを読んで避けて行った。
「いいか昇! 棍棒が今一度来たらそれに飛び乗れ!」
「なるほど……そこから肘まで……って、振り回されたらどうするんだよ!?」
俺ゲロまみれになるんだけど!? 一応酔い止め薬は飲んでるけどさ……。
「大丈夫だ! 格闘スキルの脚力ならばすぐにでも肘まで到達できる!」
「ほ、本当かよ……」
「ほら来たぞ!」
「うぉ!?」
奴は棍棒を横に振り回す。
シェダルはそれを読んで、その上に飛び乗った。
「行くぞ! うおおおおおおお!!」
シェダルはその上を走る……速くね!?
シェダルはそのまま奴の肘に到着し……ぶん殴った。
すると、奴の鎧の一部が粉々になる……すげぇ。
「昇! お前は反対側に!」
地面に降り立ったシェダルが指示を出す。
よし! 俺も!
奴は自慢の鎧が壊れたことに怒り心頭なのか、攻撃が激しくなる。
おいおいおい……やばくないか?
俺は避けるのに必死だった、右に左、上に下に……。
これ攻撃する隙あるか?
「今だ! 昇!」
「あ、あぁ! うおおおおおおおお!!」
俺は足に全集中し、奴が振り回す棍棒に飛び乗った。
うおお!? めっちゃ揺れるんですけど!? これ向こうまで行けるか!?
「昇! 早く行かないか!」
「や、やろうとしてるけどおおおおおお!?」
「お前なら行ける! 自分のレベルを思い出せ!」
じ、自分のレベル? 俺の今のレベルは……305。
そうだ……俺はもうレベル1のド底辺じゃない! 俺は305だ! 305! うおおおおおおおおお!!
「い、いけえええええええ!!」
俺は気合を入れ、大声を上げながら走り始める。
腕に張り付いた蟻の如く素早く奴の肘まで行った。
俺はそこに着くや否や渾身の力を籠め、奴の肘をぶん殴った。
すると、奴の鎧は粉々に砕け散り、生身が丸見えになった。
俺はすぐさま地面に着地し、シェダルと合流した。
「よし! 昇! とどめだ!」
「あぁ!」
俺たちは鍵を回した。
『『スキル必殺!』』
奴はその状況でも攻撃を仕掛けようとしていた。
俺たちはそれを避け、待機音をバックに再び鍵を回した。
「「格闘スキル! 殴りすぎフィニッシュ!」
俺たちは空高く飛び上がり、奴の頭に向かって拳をお見舞いする。
奴はその攻撃を受けると、白目を剝き、倒れた。
……これは?
「や、やったのか?」
俺は地面に着地するや否やそう呟いた。
シェダルが奴に近づき、脈拍や息を確認する。
「……逝ったな」
「そ、そうか……」
奴は絶命したようだ。
俺は奴に近づき……合掌をする。
俺らのレベル、そして生活の為のお金と素材の為に殺してしまい本当に申し訳ない、その命、大事に扱います。
俺はそう心の中で唱えた。
「さ、祈ったところで、解体を始めるぞ!」
「あぁ」
俺たちは収納スキルに変身し、解体作業を始める。
『『収納スキル!』』
「「スキルチェンジ」」
『『スキル解放! 納めたすぎる! 収納スキル!』』
俺はナイフを片手に奴の体を分解し始める。
一方シェダルは粉々になった鎧を集めていた。
「その鎧……何かに使えるの?」
「融かしたりすれば結構金になるぞ。こいつの鎧は高級な鉱石で出来ているからな」
「へぇ……」
相変わらず、シェダルの知識は頼りになる。
俺ももっと勉強しなきゃ……。
そう考えながら、回収を続けた。