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第三十五話 風呂を出る、やってみる

「父は母に仕事と下宿先を提供した、母のスキルは『開発』という一風変わったスキルでな」

「開発? 聞いたことないな」

「まぁユニークスキルというやつだ」


 開発って何ができるんだ? 意味合い的にかなりのことができそうだが……


「母はそのスキルで、色んな事をした、井戸を作ったり、新たな家を作ったり……建設業に近い仕事をやっていたようだ」

「へぇ~」


 確かに、「開発」してるな、街を。


「徐々に他の領民からも母は受け入れられていった、そんな時、ダンジョンから得体のしれない魔物が街に出てきた、冒険者や兵士が応戦したが、今まで使っていた武器では歯が立たなかった」

「やばいじゃん! どうすんだよ!」

「そこで母の出番だ、母は新たな武器を研究し、開発を始めた」

「すごいな」


 武器まで開発してしまうとは。


「そして新たなる武器で、敵を圧倒し、母は街の英雄として崇められた」

「すげぇ!」


 人間嫌いの魔族が人間を救うってかっこいいな。


「……だが、人間の当時のトップが、母の事を弾圧しようとしていた、母は幻滅し、結局人間というのはこんなものかと思っていたらしい」

「えぇ……そんな……」

「だが、そんなときに立ち上がったのは父だった、父は『もしも彼女に何かあれば、我々は燃料の供給をストップする』と言ったらしい、当時は産業革命が起きていて、父の領地は燃料資源が豊富だった」

「かっこいい……」

「無論、強大な魔物を倒した魔族をかくまっていて戦力が桁違いかつ、燃料資源の実権を握っている父に盾を着いたら国家転覆される可能性がある、そう考えた人間のトップは引き下がった、そしてなんやかんやあって結婚して、なんやかんやあって私が産まれた!」

「なんやかんやって……」


 そこ適当なの?


「まぁこれで人間と魔族が仲良くなるきっかけができて、今のウトピアがあるってことだ! すごいだろ?」

「それは確かにすごいな」

「母は鍵スキルに認定された私に言ったんだ、『どんなスキルだろうが、体を張って打開策を見つければ、きっと世間は認めてくれる』とな!」

「……」


 今の俺に刺さる言葉だ。


「そして、腕輪を開発した私は無双をして……と、ここは聞いたな!」

「あぁ……」

「どうだ? 面白かったか?」

「……うん」


 体を張るか……腕輪の力はそれに含まれるのだろうか?


「さ、出るか! 逆上せるぞ!」

「あ、あぁ!」


 シェダルは湯船から上がった。

 ……俺は後から出よう。


「昇!」

「なに?」

「鍵スキルを受け入れてもらうために頑張るぞ! そしてウトピア出現の陰謀を暴くんだ!」

「……おう!」


 シェダルは浴室を後にした。

 頑張る……か。


『……おう! 俺はこのスキルでみんなから馬鹿にされてたけど、この腕輪があれば、そいつらを見返すことができる! それに、俺はこのスキル社会を覆したい……その陰謀ってやつも、暴きたい!』


 こんなこと言ったわけだし……やってみようかな。


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