第二百九十六話 いつ退院? やることない!
「いやぁ、昇くんにシェダルちゃん」
「叔父さん、元気そうだね」
「だから言ったじゃない! 叔父さんは大丈夫だって」
叔父さんは病室のベッドの上に座っていた。
「それにしても、病院のご飯、叔父さんだったらもうちょっと美味しく作れるんだけどなぁ……」
「いやいや、病院のメシに何を求めてんの……」
叔父さんの料理に対する熱意というか探求心というか、それは病院のメシにまで広がるのか……。
「卓郎さん、退院はいつになるんですか?」
「あぁ、明日だよ。叔父さんは今すぐにでも退院したいんだけどね」
まぁ確かに、俺も病院で寝ているだけというのは、耐えられないかもしれない。
叔父さんみたいな仕事人間ならなおさらだろう。
「まぁ、もしかすると今日の内に変な後遺症が起こるかもしれないし、今日は寝ていなよ、叔父さん」
「あはは……まぁ、そうだよね、今日は見舞いに来てくれてありがとう、昇くん、シェダルちゃん」
「……家族なんだから当たり前だろ?」
……全くよ。
◇
「さて、これからどうする? 昇」
「どうするって……」
叔父さんは何とも無さそうだし、これから飯を食いに行こうにも、飲食店はどこも……
「おお! あのラーメン屋、今日から営業再開みたいだぞ!」
「ほう」
なんと、あのラーメン屋さん再開したらしい、シェダルが携帯を見てそう言った。
「そうだなぁ……飯食った後、ダンジョンでも行かないか?」
「なんでダンジョン?」
いきなり凄い提案だ。
「ほら、家に戻ってもやることないだろ?」
「まぁ……」
学校の再開もまだまだ時間が掛かる。
俺はこの1か月暇だったので、授業でこれまでやったところの復習をしたり、少しだけ先へ進んだりした。
このままだと、置いていかれる気がしたから……。
「それに……あと少しであのダンジョンは制覇だ! 鍵スキルがダンジョン制覇となれば、剣さんたちに更に褒められると思わないか?」
「あぁ……まぁ……そうか!」
「よし! そうと決まればまずは腹ごしらえだ! 行こう!」
「おう!」
シェダルは転移スキルに変身し、俺たちはラーメン屋へと転移した。