第二百八十九話 追い打ち仕掛けた、これならどうだ!?
「眩しすぎる! 眩しすぎるぞ! あぁ……消したい……消し去りたいぞ!」
奴は俺たちに向かって、氷の弾を放った。
俺たちはすぐさまそれを避け、氷の弾は床に着弾した。
やべぇわこいつ……完全にイカれてる……。
「これもヒューモンスターの携帯の影響だ、奴は複数のモンスターのデータが入った携帯を使用している……」
「……その上で、携帯に嵌める腕輪の効力もあって、完全にヤバい奴になったって感じか?」
「そうだ……奴はもはや感情のコントロールができていない」
恐ろしい……早いとこ何とかしないと……。
俺はダイヤルを回した。
『弓スキル! 射抜きすぎ!』
右手に碇のような弓矢が装備され、俺は一秒も待たず矢を放った。
しかし、奴はそれを読んで颯爽と避けた。
「無駄さ……無駄なのさ! ははははははははは!!」
奴は笑いながら、こちらに向かって突撃してくる。
それはまるで、ミノタウロスのようだった。
シェダルが足を動かし、その攻撃を避けた。
奴はブレーキを掛け、再びこちらに走ってくる、しかも今度はどこからか棍棒を取り出し、こちらに振り下ろそうとしていた。
「任せろ」
シェダルはそう言ってダイヤルを回した。
『格闘スキル! 殴りすぎ!』
そんな音声が鳴り、左手にメリケンサックが装備される。
そして……。
「おりゃあああああ!!」
「ちょ、ちょっとシェダル!」
シェダルは奴目掛けて走り出した。
このままぶん殴る気か!?
『昇! 私が奴を殴ったら追い打ちを掛けろ!』
シェダルの考えが脳内に伝わる……なるほど、そういうことか。
シェダルはそのまま奴をぶん殴った。
奴は後ろ向きに倒れる、俺はそれを見て弓を引いた。
「ぐはぁ……痛い……痛いぞ!」
奴は俺らの攻撃が効いているのか、胸を抑えながら立ち始める。
『流石だ! 昇!』
『このくらい楽勝だ!』
俺たちは片手と片手を叩いてハイタッチをした……拍手しているようにしか見えてないかもな。
「なら……これならどうだ!?」
奴は虫のような羽を広げ、飛び始めた。