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第二百八十七話 転移の理由、どうかしてる!

「素晴らしかった……高層ビルに高い技術力……全てが良かった……」

「……ならば何故、ウトピアを地球へ転移させた? 何故ダンジョンも転移させた?」


 地球の素晴らしさを語る社長に対し、シェダルが質問を投げかけた。

 確かに謎だ、それならば何故?


「……シェダルくん、ウトピアの経済を支えている大元はなんだい? 君ならすぐ答えられるだろう?」

「それは……」


 ……俺も、学校の社会科の授業で学んだ記憶がある。

 ウトピアの経済を支えている物、それは……。


「エネルギー資源……」

「その通り……君も聞いたことがあるだろう? いずれはそのエネルギー資源も枯渇して、経済的破綻は勿論の事、全世界が大混乱に陥る……私は考えたのさ! どこか別の惑星にウトピアが移れば、それも解決するんじゃないかってね……」


 ……即ち、その惑星の資源を利用するってわけか?

 その惑星とやらが……地球?


「……冗談じゃない! 勝手にやってきて、資源だけ利用するってのか!?」


 俺はつい感情的になってしまって、そう叫んでしまった。


「無論! 君みたいな意見が過半数だと思うよ。実際私が逆の立場だったら、君みたいなことを言うかもね」

「……」


 俺の考えは社長にお見通しだった。

 ……まてよ? それなら、ダンジョンも転移させた理由って……。


「気づいたようだね……その通り。勝手にやってきただけでは誰も納得はしない、でも相手にも利益を与えたら? ……認めるしかないだろう?」


 ……即ち、ダンジョンが当たり前に存在しているウトピアならば、それの攻略法も分かる。

 つまり……。


「ダンジョンを転移させて、冒険者ギルドを提唱し、スキル社会を間接的に伝える……そうすることで、地球の国々が自分らと同じにできるってことか?」

「そうさ……その通りだ!」


 そして奴は……ウトピアでセントレアコーポレーションを設立し、日本に拠点を移した……というわけか。


「だが……もうそれで十分じゃないか! あんたはそれによって、世界の経済を支配したも同然じゃないか! 金も地位もある……なぜこんなことを……」


 俺はただ思ったことを叫んだ。

 ……さっぱり分からないんだ、何がそんなに不満なのか、何が奴を動かしているのか。

 ……奴はその答えとも取れる言葉を発した。


「足りないのさ! 何かが足りないのさ! そうさ……私は金や社会的地位などどうだっていいのさ! 私が欲しい物……それは……この世界そのものさ! 世の中クソみたいな奴が沢山いる! 私を認めなかった全ての奴ら、全てに復讐してやるのさ! 皆私の前にひれ伏すだろう! 私抜きでは生きられなくなるだろう! 二度とゴミみたいな目で見ることは無い! まるで神を崇めるかのような目で見る! そうさ……私こそが神なのさ! アハハハハハハ!!」


 ……何を言っているんだ……こいつは。


「そんな意味の分からない理由で……今までの騒ぎを起こしたってことか?」

「あぁそうだよ……それ以外なんだと言うんだい?」

「……どうかしてる」


 俺はその時感じたことをそのまま口にした。


「まぁ、君たちみたいな鍵スキルに分かるわけはないさ……」

「……なんだと?」

「おしゃべりはこのくらいにしよう……君たち……今すぐここで私にひれ伏せ!」


 ……まずい。

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