第二百八十四話 ぶち破る、突破する
「よし! ショートカット成功だ!」
『おええええ……なんて豪快な……』
俺はシェダルの無謀さに軽く引いてしまった。
多分元の姿に戻ったら真っ先に内容物が出る……。
だが、そんなことを考えている暇ではなかった、なぜなら……。
『おいおい! 建物の中にもいるじゃねぇか!』
俺の目線の先からも見える。
外にいるほどではないが、モンスターがあちらこちらにいた。
しかも先ほど豪快に侵入した影響からか、ほとんどがこちらに注目している。
「仕方がない、このままいけいけどんどんだ!」
『はぁ!?』
シェダルはそう言って、再びフルスロットルで俺を発進させた。
廊下の中を疾走し始め、次々とモンスターを轢いていく。
轢いたモンスターが煙になっていき、廊下の中にそれが充満していた。
「あそこが階段だな!」
シェダルは目の前に接近している扉に向かってそう言った。
そして、シェダルは走りながら鍵を変えているのか、廊下にこんな音が響き渡った。
『弓スキル!』
「スキルチェンジ!」
『スキル解放! 射抜きすぎる! 弓スキル!』
そして続けて、腕輪を操作したのか、こんな音声が鳴った。
轢きそびれたモンスターに向かって矢を放ったのか、後ろの方でモンスター達の断末魔が聞こえる。
『スキル必殺!』
……運転席からそんな音声が聞こえる、そして目の前には扉。
おいおいおい……まさか……。
……俺の予測は的中した。
『弓スキル! 射抜きすぎフィニッシュ!』
そんな音声が鳴り、シェダルは巨大な矢を放って、扉をぶち破った。
「よし! 道は開けた! このまま行くぞ!」
『おいおい、あそこは階段……』
「手っ取り早く向かうにはこれしかない!」
『……あぁもう! 仕方ねぇ!』
俺は腹をくくって、シェダルの作戦に乗った。