第二百八十二話 めっちゃいる! それに乗る!
「ようやっと着いたぞ! みんな!」
『長い道のりだった……』
俺たち一行は、セントレアコーポレーションにようやっと到着した。
だが……。
「モンスターが……」
「めっちゃいる……」
翔琉と悠里は、目の前の光景に感想を述べた。
2人が言った通り、これまでとは比べ物にならないくらい大量にいる……マジでダンジョンよりもいる気がするわ、これ。
そして、近くで見る現在のセントレアコーポレーション本社は、まるで違っていた。
襲撃されてしまった翔琉や悠里の家ほどではないが、とても綺麗と言える状態ではない、廃墟のような感じになっていたのだ。
そして、皆は上に何かがいるのか、見上げている……。
「な、なにあれ!? きも!」
悠里は上にいる「なにか」について辛辣な感想を述べた、しかも今回に至ってはそれが的中していた。
『……俺の目線からだと見えないけど、もしかして、屋上に何かがいるのか!?』
「……ヒース長官、セントレアコーポレーションの社長だ」
……なんと、ヒース社長が屋上にいるらしい。
「えぇ!? アレが!? マジきもいんですけど!」
「奴はもはや人間ではない……魔王のヒューモンスターだ」
「ま、魔王!? それってダンジョンの最深部にいるっていう……」
「そうだ、翔琉。奴は人々をヒューモンスターにさせ、その戦闘データを集めて、アレに変身するための携帯電話を作ったというわけだ」
「そ、そんなことが……」
……早いとこ、あの野郎を何とかしないとまずいというわけか。
「昇! シェダルちゃん! ここは俺らに任せて行け! 悠里、薫! 2人が通れるように道を作ってくれ!」
「で、できるけど……昇くんとシェダルちゃん2人だけで大丈夫なの!? それにこれだけの数……ウチらだけで行ける!?」
……俺も悠里と同じことを思った。
いくら4人とも強いからと言っても、こんな大勢のモンスターを対処できるのだろうか?
ましてや俺とシェダルだけで、魔王のヒューモンスターと化した社長に会いに行くなんて……。
「……昇とシェダルちゃんならいける! そして、俺たちならこの程度の敵……一気に叩き潰せるぜ!」
「……愁」
愁は自信満々の様子だった。
「……私も、2人を信じます!」
「か、薫ちゃんまで……」
「悠里さん……この程度のモンスター……私たちだけで十分です!」
「えぇ……? そう?」
悠里は不安に思っているようだ、まぁ俺も不安でいっぱいだ。
だけど……。
『……私に、ついてこれるか?』
『…当たり前だろ!』
……俺はシェダルを信じている。
翔琉たちも期待しているなら……やるしかない!
「あぁもうわかった! ウチもそれに乗る!」
悠里も覚悟を決めたようだ。




