第二百八十話 モンスターを倒す、カマしすぎる!
「そこをどけ!」
『おいおいおい! 俺をあんま乱暴に扱うな!』
シェダルは俺を巧みに操作し、モンスターどもを車輪でなぎ倒していく。
武装した市民はある程度抑えられたようだが、今度は突破現れたモンスター退治……。
……俺を乱暴に扱うな! なんて端から見たら意味不明な台詞、今後は使う事は無いだろう、多分。
なぎ倒したモンスターは、煙となって消えていく……これはどういう事だろうか?
『なぁ、シェダル。このモンスターたちって一体何なんだ?』
「恐らく魔王のヒューモンスターの力だろう」
『……どういう事?』
「以前ゴブリンのヒューモンスターが、ゴブリンのクローンを作ったことがあっただろう?」
『あ、そういえば……』
そう、あの総司大通りの事件だ。
「あの魔王のヒューモンスターの携帯は、過去にヒューモンスターになった人間からデータ収集して出来た代物だ、このモンスターのクローンたちも、ゴブリンのヒューモンスターのデータから取ったのだろう……」
『な、なるほど……』
難しいけど、なんとなく理解はした……分からない部分が半分くらいあるけど。
「きも! 早く到着してよ!」
「後部座席で鎚を振り回すの難しすぎる!」
後続では翔琉と薫の運転する車両が走っていて、同乗している悠里と愁が攻撃を仕掛けていた。
後ろの助手席、後部座席に座る2人は戦闘に苦戦しているようだった。
……早いとこ到着してほしいというのは俺も思う、もうすぐだとは思うが……。
「みんな! もうすぐだ!」
シェダルは皆にそう呼び掛けた。
俺の目線では確かに、先ほど潜入した高層ビルが見えている。
だが……。
『モンスターがうじゃうじゃいるぞ! 突破できるのか!?』
俺はシェダルに向かってそう言った。
「よし! みんな! いったん停車だ!」
シェダルがそう言うと、ブレーキを握り、俺を停車させる。
2人もその掛け声を聞いて停車したのか、タイヤが擦れる音が鳴り響いた。
「ここは一度こいつらを一掃するぞ!」
シェダルはそう言って、俺の背中にあるボタンを押した。
俺は立ち上がり……バイクマンとなった。
「こいつらをぶっ放せ! 昇!」
『任せろ!』
俺は両手のミニガンで、モンスターどもを倒しまくった。
奴らに弾が命中し、煙となって消えていく。
だが……爆風の奥からまだまだ大量のモンスターが出てくる。
「俺たちも戦うぞ!」
「おうよ!」
「もちろん!」
「……行きます!」
4人が前進し、モンスターに対して攻撃を始める。
翔琉は剣で斬撃し、愁は鎚で吹っ飛ばし、悠里は矢で射抜き、薫は呪文で殲滅していく。
「私も黙って見てられないな!」
シェダルはそう言って鍵を外しながら走り出した。
そして、ケースから別の鍵を取り出す。
『鎌スキル!』
「スキルチェンジ!」
『スキル解放! カマしすぎる! 鎌スキル!』
腕輪からそんな音声が流れ、シェダルは露出度高目な白銀の衣装を身に纏った。
両手には鎌スキルの名前の通り、2本の鎌を装備している……。
鎌スキルってなんだよ……カマしすぎるってなんだよ……ダジャレじゃねぇか。
一瞬そんな風に思った。
「最近調整した鍵の試験運用だ! 鎌の錆にしてくれるわ!」
シェダルはそう言って両手の鎌を振り回していく。
最近調整したのか……。
シェダルの戦闘力はやはり高く、俺たち5人はついて行くのに必死だった。