第三十三話 君の数、一体幾つ?
「ふぅ~、先ほどは死ぬかと思ったぁ~」
「……」
俺はシェダルの裸を凝視しないよう、背を向けて入るよう提案した。
とは言っても、背中越しにシェダルの肌を感じるので、これはこれで緊張する。
「なぁ! 昇!」
「は、はい!?」
「あははは! そこまで緊張しなくてもいいだろ!」
「……」
シェダルはテンションが戻ったのか、陽気に話しかけてきた。
お前さっきまで恐怖で涙を見せたのに、あれ本当は噓泣きだったんじゃないか? 俺をからかってるのか? 全く……
「な、なぁ……」
「どうした?」
「俺もう出るわ!」
湯船から上がろうとした、その時。
「こらこら、体がまだ暖まってないだろう!」
シェダルは俺の両肩を押し込んで、再びお湯の中へ乗船させた。
俺は今すぐにでもこの船を降りたい!
マジでこいつ、なんなんだ……
「なぁ、ちょっと質問していいか?」
「なんだ? 昇」
「お前その……俺に裸を見られて恥ずかしくないのか?」
「ははは! 出会った時も素っ裸じゃないか!」
「まぁ……そうだけど」
ほんと、調子狂うわ……なんで平然としていられるのか謎だ。
俺は緊張でしょうがないのに。
「別に『子ども』に裸を見られてもどうとも思わないからな!」
「子ども?」
飯の時もそうだが、こいつ見た目的に俺と少し下か同い年ぐらいだよな?
話し方は若干大人びているというか、男っぽいというか、なんか年上の女性と話しているみたいだけれども。
「気になるんだがお前、何歳?」
「女性に年齢を聞くとは失礼な奴だな!」
「あ、ご、ごめん……」
「ははは! お前ほんと可愛い奴だな! 緊張してるのか?」
「当たり前だろ! 女の子と一緒に風呂なんて……」
やっぱりこいつ、からかってるのか?
何というか、掴めない。
何でこいつは俺の手を握るように、がっしり掴んで離さないような話し方をするんだろう?
なんというか、母親みたいな……
「150だ」
シェダルは突然、どデカい数字を口にした。