第二百七十五話 立てこもる社長、なんとかしよう
『速報です! 先ほど逮捕状が請求された、セントレアコーポレーション社長、常滑ロウ・ヒース容疑者ですが、現在、本社の屋上で立てこもりを行っている模様です! また、同本社付近ではダンジョンのモンスター出現との情報が入っており、政府は自衛隊と冒険者の出動要請を出したとのことです! 付近の住民の皆さまは、命を守る行動を優先してください!』
……テレビには、一般人が撮影したであろう、セントレアコーポレーションの現在の様子が映し出されていた。
映し出されている場所が、俺とシェダルが昨日潜入した場所だとは、この時は信じたくなかった。
ダンジョンでも無いのに、モンスターが大量にいる。
撮影した本人もこの場にいるとまずいと判断したのか、カメラがブレブレで、恐らく逃げながら撮影したのだろうと考えた。
……これは、早く向かわなければまずい。
「なぁ、シェダル……」
俺はシェダルに声を掛ける……が、当の本人は放心状態だった。
「……みんな、ちょっと集合!」
翔琉が集合を呼び掛け、俺たちは人々が集まっているところと反対の場所に集合した。
「……私は反対だぞ! このまま向かったら返り討ちに合うだけだ!」
集合して開口一番、シェダルはこう言い放った。
……やっぱりな。
「だがシェダル、今もこうして留まっていても仕方がないだろ!」
「そうだよ! 向かったほうが良いって!」
俺の言った事に、翔琉が賛同してくれた。
「なぁシェダルちゃん! 向かおうよ!」
「そうだよ! ウチ、このまま黙って見てるだけなんてできないよ!」
「……私も……このままここにいるのは……耐えられません!」
他3人もシェダルに訴えかける。
シェダルは折れてくれるか……?
「……あぁもう! わかった! 行こう!」
……全会一致、俺たちはセントレアコーポレーションに向かうことがここで決まった。
「決めたからには手段を選んでられないな! さぁ行くぞ!」
「お、おい!」
シェダルは例によって俺を引っ張り出した。
「俺達も行こう!」
「もち!」
「おう!」
「……はい!」