第二百七十三話 叔父さん不調、自衛隊が参上!
「昇くん! シェダルちゃん! 大丈夫かい!?」
「俺たちは大丈夫!」
「暴走した市民は私たちが止めました」
「そうかい!? 良かったぁ~」
叔父さんは胸を抑え、安堵の表情を浮かべた。
「叔父さんは!? 市民に襲われてたけど!?」
「あぁ、叔父さんは大丈夫……ゲホゲホ……」
「大丈夫じゃないじゃない!」
叔父さんは体を曲げ、咳き込んだ。
まぁ、めちゃくちゃパワーのある武装した奴に掴まれたら、そりゃこうなる。
俺たちが叔父さんに駆け寄ると、鍵屋の玄関にノック音が鳴った。
「陸上自衛隊です! 誰かいらっしゃいますか!?」
……避難誘導する自衛隊の人がやってきたようだ。
「はい! 怪我人がいます!!」
シェダルは急いで玄関を開け、隊員にそう説明した。
すぐさま叔父さんは担架に抱えられた。
「大袈裟だよ……叔父さんは大丈夫だから……」
「一応検査してもらって! ……叔父をお願いします」
「わかった! さぁ君たちはあの車に乗って!」
俺たちは隊員に誘導され、大型の装甲車に乗り込んだ。
装甲車の中には、既に数十人くらいの人がいた、これからもっと増えるだろう……。
ヒース社長をとにかく止めて、混乱を抑える。
俺はそう誓った。
◇
「クソ……あの鍵スキルどもめ!」
魔王となったヒースは、セントレアコーポレーションの屋上から、外の様子を見ていた。
彼が目にしたもの……昇とシェダルが、自身の開発した鍵の対策法を見つけ、あろうことか、それを使って武装した市民の無力化を行っていたのだ。
ヒースにとっては、かなり面白くの無い状態であった。
「あぁ……破壊したい……だが、破壊してしまっては、後々支配する時に面倒になってしまうな……」
ヒースは魔王になったものの、街を破壊してしまえば、後々面倒になるというのを考えていた。
だが……。
「しかし……後に警察や自衛隊がここまで来るだろう……そうだなぁ……」
ヒースは手をかざし、「イメージ」をした。
そのイメージとは……。
「我が僕たるモンスター達よ! ……このビルに入ってくる奴らを血祭りにあげろ!!」
ヒースは魔王の力でモンスターを出現させた。
数百体にも及ぶ、多種多様なモンスター達は、ヒースの号令を聞き、下へと降りて行った。
「さぁ……来るなら来い……」