第二百六十四話 避難場所、待ってろよ!
「でも、なんでウトピアの、それも女の子が……理由が思いつかない」
過去のヒューモンスター事件の犯人は何かしら理由があって変身していた。
標的は俺たちだったらしいが……。
「これは私の推測だがな……あの娘は恐らく……ヒース長官の身内だ」
「み、身内? 実の娘ってこと?」
「実の……かどうかは不明だが、親密な関係であるのは確かだろう」
「……」
確かに、ウトピア系の人はこの国じゃ極端に少ない……隣国だけど。
そう考えるならば、シェダルの言う通り、ヒース社長の身内である可能性は高いな。
……だとすると、自分の身内をヒューモンスターにするなんて、なんて奴だ……。
「……まぁ、今は先に避難場所に行こう……」
……避難場所か……あ!
「そ、そういえば! 翔琉たちは無事なの?」
「あぁ、安心しろ……薫が少し怪我が酷いが、命に別状はない、安心しろ」
「良かった……」
皆無事なようだ……。
薫……怪我は大丈夫なのだろうか?
……俺のせいでもあるかもしれない……メッセージを送っておこう。
歩きスマホは良くないが……俺はそんな事よりも、皆が心配だった。
『みんな、迷惑を掛けてしまってすまない……』
……こんなんで許してもらえるとは思えないが……今の俺には、これ以上の言葉は思いつかない。
……シェダルは皆無事だと言っていたが、返事は来るだろうか?
『昇! 無事だったのか!?』
『心配したんだぞ!』
『昇くん! 無事でよかった……』
……翔琉、愁、悠里の3人から返信が来た……薫からの返事は……。
「昇さん! 無事でよかったです! ヽ(*´∀`*)ノ.+゜」
……薫!?
『薫! 大丈夫なの!? 怪我は!?』
『私は大丈夫です! (*`・ω・)ゞ ご心配をおかけしてしまい申し訳ございません! m(_ _)m』
良かった……顔文字を打ててるってことはそのくらい元気という事だろう、多分。
『昇! 早く避難場所来いよ!』
『皆待ってるよ!』
翔琉と悠里が、そんなメッセージを送ってくる。
……皆、避難場所にいるのか。
「ほら、もうすぐ聖堂だぞ」
「あ、あぁ……」
……行かなくちゃな、避難場所に。
そして、合流して……社長をこの手で止める!
『今から向かう! 皆待ってて!』
俺は皆にメッセージを送った。