第二百六十二話 これは何? ダイヤルキー!
「私と卓郎さんから、お前の頑張りを祝してこれをプレゼントだ!」
「は、はい?」
が、頑張りを祝して? な、なんだ?
「あ、その前にこのケースは返す」
「あ、ありがとう……」
シェダルは、俺の鍵ケースを返却する。
な、なんだよ一体……。
俺が困惑する中、シェダルはワンピースのポケットからある物を出し、俺に見せびらかした。
……なんだこれ? なんか円状の……ドアノブみたいなものを見せてきた。
「これはだな……そのケースの入っていた忌まわしい鍵を制御するための物だ」
「忌まわしい鍵……? これの事か?」
俺はケースから、謎の女の子から受け取った鍵を取り出す。
忌まわしい鍵って……シェダルは何でこの鍵を知っているんだ?
「……なぁ、なんでシェダルはこの鍵の事を……」
「まぁとにかく! これはだな!」
「おい!」
シェダルは俺の言った事を遮るように話を続ける。
なんなんだよ……まぁ良いけど。
「これは名付けるならば……『ダイヤルキー』だ!」
「だ、ダイヤル……キー?」
ダイヤル……数字が書かれてる円状の文字盤の事か?
ダイヤルって聞いた時に真っ先に連想するのは金庫だけど……ダイヤルキーってどういうことだ?
「それに鍵穴がついているだろう?」
「あぁ、確かに……」
ダイヤルキーなる代物には確かに、腕輪と同じような鍵穴がついていた。
「もしかして、これをここに挿すのか?」
「あぁ……だが、今は試す時間は無いぞ? もうすぐ冒険者と自衛隊が家に来る……一度戻ろう」
「お、おう……」
「さぁほら」
シェダルは俺を抱えて、立ち上がった。
「いいって……歩けるから……」
「いいからいいから、これはほんのお詫びだ」
「お詫びも何もないだろうが……」
「いいじゃないか、嬉しいだろ?」
「あ、まぁ……うん」
「ははは、素直なのは良い事だ」
「……」
全く……まぁシェダルがやりたいって言うなら……別にいいんだけどさ、嬉しいし。
でもなんか……恥ずかしいな、俺……いっつもシェダルにおんぶに抱っこじゃないか。
……シェダルは扉を開け、俺を抱えながらゆっくりと歩き始める。
ゆっくり歩いてくれるのは構わないんだけど……別にこの間みたいに病人ってわけじゃないんだがな……やっぱダメだな、俺。
俺が眠りにつく前、シェダルに言った事……。
『そんな……俺が頼りないのか!? 確かにシェダルと比べたら弱いけど……なら! ついてこれるように頑張るから……』
……もっと頑張らなきゃな