第二百六十一話 すまなかった! プレゼントだ!
「……ん?」
あれ……ここどこだ?
……あ、そうか……確か……安息の地の神殿……。
どうやら寝てしまったらしい……。
いつもここで寝る時はシェダルが隣にいたので、一瞬どこだかわからなかった。
……シェダル。
「……起きるか」
俺はベッドから腰を上げ、立ち上がろうとした……その時だった。
「昇!」
「うお!?」
扉が勢いよく開き、シェダルが現れた。
俺は思わず、体を振動させて驚いてしまった。
「昇! 昇!」
「なななななななな、なんだよ!?」
……そして、抱き癖発動。
でもなぜだろうか……凄く久々に感じる。
「すまない! 本当にすまない!」
「な、何が!?」
シェダルは俺に抱き着くや否や、謝罪の言葉を口にした。
何なんだよ一体……。
「本来ならば、ボロボロなお前を、私は寄り添って……支えてやるべきだったのに……1人にしてしまって……挙げ句、お前に対して頑張らなくていいなどと……許してくれ!」
「ゆ、許す!? いやちょっと落ち着けよ!」
シェダルは震え声で謝罪の言葉を言う。
ていうかいつもより抱く力が強い! 苦しい! 離れさせようとするも、まるでゴーレムに捕まれているような力で、離れようとしない。
シェダルはやはり、見た目の割に筋力が凄まじい……。
「もう一人にしないからな! お前と私はずっと一緒だ!」
「は、はぁ!?」
突然、愛の告白のような台詞を吐くシェダルに、俺は恥ずかしさのあまり、瞬間湯沸かし器の如く顔が真っ赤になり、体温が上がったのか体中が熱くなった。
「昇……本当にすまない……お前なりに努力をしていたのに、突き放すようなことを言ってしまって……本当にすまない……」
「……」
シェダルは俺の肩に顔を擦りつけ、涙を沁みこませている。
ま、まぁ……俺もその言葉には若干傷ついたけどさ……
つーかこの流れ! 前にシェダルが悪夢にうなされていた時と同じ感じじゃねぇか! 全く……シェダルは何ですぐこうなんだ!
あぁもう! 緊張でやばい!
「わ、わかった! シェダルと俺はずっと一緒だ! 分かったから離れろよ! あと……そのことはもう気にしてないから!」
「そうか……でも、もうどこにも行くんじゃないぞ」
「い、行かないから! つーかもう離れろよ! 抱く力強すぎて骨が粉々になるから!」
「あ、すまん……」
シェダルは力を緩め、俺の肩を優しく掴む。
俺は胸を抑え、ゆっくりと深呼吸をした。
全く……あと少しで気絶するところだった……緊張で。
「ところで昇!」
「な、なに?」
「私と卓郎さんから、お前の頑張りを祝してこれをプレゼントだ!」
「は、はい?」
が、頑張りを祝して? な、なんだ?