第二百五十七話 寝てられない、場合じゃない!
「……シェ……ダル?」
「……昇?」
昇は……その場でしゃがんだ。
そして……。
「うぅ……」
……昇は泣き始めた。
「……昇くん」
「……昇」
私たちは、つい、昇の元へ近づいた。
……至近距離まで。
「叔父さん……シェダル……うぅ……あああああああああああああああ!!」
昇は……泣き叫んだ。
「……昇くん」
「さぁ……昇、そんな鍵……外せ」
「うぅ……うぅ……」
昇は……静かに頷いて……鍵を外した。
黄金の装甲が剥がれ落ち、昇の生身が露になった。
私たちは……棘が無くなった昇の体を……静かに包み込んだ。
◇
「……んん?」
気が付くと、俺は安息の地の花畑にいた。
あれ……俺……セントレアコーポレーションにいた筈じゃ……。
「昇!」
「昇くん!」
「シェダル……叔父さん……?」
目の前には、シェダルと叔父さんがいた。
「よかった……無事で……」
「……叔父さん」
叔父さんは安堵の表情で、深呼吸をした。
何なんだ一体……。
「まぁいい、とにかく、行くぞ!」
「お、おい! どこへ?」
俺はシェダルに抱えられ……連行された。
◇
「シェダル……俺、何をやったんだ? ……ヒース社長は? 今、街はどうなってるの? あの岩のヒューモンスターは? なんで俺は安息の地に……っていうか叔父さんは何でここにいるの!?」
俺はシェダルに抱えられながら……神殿を歩いている。
俺は抱えられながらシェダルに早速質問をした。
一体俺に何があったのだろうか?
……セントレアコーポレーションに潜入して、ヒース社長が魔王になって以降の事が思い出せない……
「……今は何も考えなくていい、お前はしばらく休んでいろ」
「そんな! ちょっと待ってくれよ!」
「ああ、卓郎さんがここにいるのは、鍵スキルだからだ」
「えぇ!? 叔父さん鍵スキルだったの!?」
ここに来て衝撃の事実が……。
まぁ、連日仕事が舞い込んできてたから、納得はできるけれども……。
って、そんな事より!
「皆は!? 翔琉たちは……」
「そこは心配するな、全員無事だ、ヒューモンスターも……」
「皆が倒したのか!? ……良かった」
「……」
ふぅ……なら一安心だ。
皆やっぱすごいな、それに引き換え俺は……。
「ま、お前は一旦寝ていろ」
寝室の扉が開かれ、俺はベッドに寝かされた。
「そんな! 寝ていられねぇよ! こんなことしてる場合じゃ……」
「昇!」
「っ!?」
……シェダルが怒鳴り声をあげ、俺は押し黙ってしまった。