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第二百五十二話 迎えに来た、お腹空いた?

「着きました」

「うぉお!? もうかい!? ……ここ、本当にダンジョン!?」


 卓郎さんは、安息の地の神殿に着くや否や、その内装に見とれていた。

 ……昇もこんな感想を抱いたのであろうか?

 そうだ、一応万が一に備えて武器は持っておこう。


『鍵スキル!』

「スキルチェンジ」

『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』


 私は白銀のコートに身を包み、ドライバー型の槍を装備した。

……さて、昇はどこだ?

 一応、安全面を考えて、神殿の中には転移はさせていない。

 神殿の中に転移をさせて、中がめちゃくちゃになり、何かの拍子で神殿が崩れて、昇がそのがれきの下敷きになる可能性があるからな。


「昇くーん! どこだい!?」


 卓郎さんは、神殿の中にいると考えたのか、大声で昇を呼び掛けた。

 私が恐らく外にいると卓郎さんに言おうとした、その時だった。


『うわああああああああ!! 殺す! 潰す!!』


 外から、そんな声が聞こえる。

 この声に、私たちは良き覚えがあった……そうだ。


「……この声は」

「昇くん!?」


 ……間違いない、昇の声だ。


「行きましょう! ……なるべく私の後ろにいてください、卓郎さん」

「あ、うん!」


 私たちは声のした方へ急行した。



「ぐわああああああ! 憎い! 憎いぞ!!」


 昇はすぐに見つかった。

 幻の太陽の光が、昇の金の装甲を、さらに眩しく輝かせていたからだ。

 昇は、花畑の中で……暴れていた。

 それはまるで、何かと戦っているのか、抵抗しているのか。

 私たちは、その光景を黙って見るしかできなかった。


「消えろ! 消えろ! 消えろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 昇の周りに咲いていた花々は、その黄金の棘で切り刻まれ、花畑のその部分だけが丸裸になっていた。

 ……近づこうにも、こんな状態では近づけない。

 どうしたらいい……。


「……昇くん」


 ……私が方法を模索している中、卓郎さんは、静かに昇に声を掛けた。


「はぁ……はぁ……」


 昇は卓郎さんの言葉が聞こえたのか……若干ではあるが、落ち着いたように見えた。

 金の装甲に身を包んだ昇は、私たちを見つめながら静止している。

 ……私は卓郎さんの盾になるように立ち回り、少しずつ前進を始めた。


「昇くん……迎えに来たよ」

「はぁ……はぁ……」

「昇くんの好きなチンジャオロース、作ったんだ、家に作り置きがあるんだ」

「……」

「昇くん、お腹……空いてるでしょ?」

「……」


 卓郎さんは、昇に語り掛ける。

 これは……行けるか?

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