第二百四十六話 叔父さんのスキル、訳を話す
「なら、早く迎えに行こう!」
……卓郎さんは、入口へと向かおうとしていた。
「ま、待ってください!」
「鍵スキル以外は入れないんでしょ!?」
「そ、そうです! だから……」
「叔父さん、鍵スキルだから入れるよ!」
「……え?」
私は困惑してしまった。
卓郎さんが……鍵スキル?
「それ……本当なんですか!?」
「あぁ! 証明してあげるよ! ちょっと待って!」
卓郎さんは自身の携帯を取り出して、ステータスオープンを唱えた。
そこに映っていたのは……
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金剛 卓郎
TAKURO KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 60
所属 有限会社 金剛鍵屋
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……なんと、本当に鍵スキルだった。
まさか……そんな事が……。
ということは、腕輪を渡す相手が卓郎さんだった可能性も……あったかもしれないというわけか。
「伊達に鍵屋やってないからね……今日まで仕事が舞い込んでいるのもこのスキルのおかげ……かもしれないね」
……確かに、この国で個人経営の店が勝つには、まずはチェーン展開している大手企業に勝つ必要がある。
卓郎さんが鍵屋としてやっていけるのも……それが理由なのか?
「シェダルちゃん……昇くんを早く迎えに行こう! そこにいるんでしょ!?」
「……ですが、昇は今、とても話が通じるような状態ではないです」
「ど、どういうこと!?」
「じ、実は……」
……私はセントレアコーポレーションで何があったのかを話した。
さっき報道があった社長……ヒース長官がモンスター人間……ヒューモンスターに変身したこと、昇がどこからか手に入れた鍵で変身し、暴走を始めたこと、私がそんな状態の昇を安息の地に幽閉させたことを話した。
「そうなんだ……そんなことが……」
「はい……」
今の昇は言わば……猛獣である、とてもじゃないが話は通じない。
行ったところで何も……。
「じゃ、じゃあ! 昇くんを止めよう!」
「そ、そんな……何も考えずに行っても……」
「そ、そうだよね……何か方法を考えないと……」
そうだ、むやみやたらに向かっても仕方がない
どうすればいい……?
どうすれば……