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第二百四十五話 昇はどこ? 迎えに行こう!

「卓郎さん! 卓郎さん!」


 私は鍵屋に戻るや否や、そう叫んだ。

 卓郎さんは無事なのか? ……私は不安で仕方がなかった。

 家の周りの道路には、ところどころに(ひび)が入っていた。

 それも劣化などによる罅ではない、何か弾頭のような、鉄球のような……とにかく、何か大きな物が落ちたような……そんな感じのものだ。

 幸か不幸か、それ以外には、特におかしなことは無かった……が、剣さんや八尾さんの姿が見えない……。


「シェダルちゃん!」


 鍵屋の奥から、卓郎さんが駆けてきた。

 この声は……。


「卓郎さん!」


 間違いない……卓郎さんだ。


「よかった……怪我は無いですか?」

「大丈夫……叔父さんも不安だったんだよ! シェダルちゃん……怪我は無いかい?」

「大丈夫です」


 どうやら卓郎さんは無事なようだった。

 とりあえず一安心だ……。


「剣さんと八尾さんはどちらに?」

「あぁ、冒険者の方は突然武装を始めた市民に……と、そうだ! シェダルちゃん! 大変なんだよ!」


 卓郎さんは「こっちきて!」というように手招きをし、私はそこへと向かった。

 卓郎さんは居間の扉を大急ぎで開け、テレビをつけた。

 そこに映っていたのは……。


『繰り返し、お伝えいたします! 政府は、セントレアコーポレーションが昨夜配布した武装アプリについて、使用をしないよう呼びかけました。警察は、セントレアコーポレーションを家宅捜索する方針を固め、同社社長をテロ等準備罪等で逮捕状を……』


 テレビの中では、一般人が撮影しただろう映像が映し出されていた。

 白い装甲に身を包んだ人が一般人を襲う場面……私は絶句してしまった。


「そ、そういえば昇くんは!? 一緒にセントレアコーポレーションに行ったんでしょ!?」


 卓郎さんは大慌てな様子でそう言う……。

 私はつい、何も言えず黙ってしまった。

 ……卓郎さんとの約束を守れなかったからだ。


『決して無理しない事! 本当に危ない時は自分の命を優先する事! そして追加で……必ずここに戻ってくること!』


 ……昇は無理をして、自己犠牲に走り、その上……ここにも戻ってきていない。

 何一つ守れなかった、これも私が無力なせいで……。


「シェダルちゃん! 昇くんは……昇くんはどこなんだい!?」


 卓郎さんは続けて追求してくる。

 ……ここはもう、正直に話すしかない……。


「昇は……安息の地にいます」

「安息の地……なんだいそれは?」


 ……そういえば、卓郎さんはそのことを知らなかったな。


「私が作った……ダンジョンの途中にある場所です」

「ダンジョン!? じゃあそこにモンスターとかは……」

「あ、それは大丈夫です。そこには鍵スキル……現状では、私と昇以外は入れません」


 現状、あの場所を知っているのは私と昇だけ、それに鍵スキルは世界中で数人から数十人いるかいないか……。

 事実上、私と昇以外は入ることは……。


「なら、早く迎えに行こう!」


 ……卓郎さんは、入口へと向かおうとしていた。

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