第二百四十四話 安息の地、新たな危機!
……安息の地。
あそこなら私と昇しか入れない……筈だ!
そうと決まれば、鍵を変えよう!
私は転移スキルの鍵を出そうとした……が。
「苦しい! 憎い! がぁあああああ!!」
昇は私に向かって攻撃を仕掛けようとこちらに駆けてくる。
いかん! 避けなければ!
「消えろ! 消えろ!」
「ぐはぁ!?」
私は昇の攻撃が避けきれず、槍の斬撃を受けてしまった。
コートが破れ、肌が露になる。
早いところ、鍵を外さなければ……。
「ぐわぁ! ぐわぁあああああああああ!!」
昇は自分の頭を抑え、苦しみだした。
……チャンスだ!
私は急いで鍵を差し替えた。
『転移スキル!』
「スキル……チェンジ!」
『スキル解放! 移りたすぎる! 転移スキル!』
私は転移スキルに変身するや否や、転移ホールを作成し、昇をそこへ引きずり込もうと考えた。
転移ホールの行き先は……安息の地。
私は杖で円を描き、ホールを出現させた。
「う……ぐ……」
昇はホールの引力に抵抗をしている。
……ここは最大出力でやるしかない!
私は更なる引力をイメージし、昇を吸い込もうとした。
それでも昇は抵抗を続ける。
お願いだ! 入ってくれ!
「う……ぐ……ぐわぁああああああ!!」
私の必死の思いが届いたのか……昇は転移ホールの中へ入っていった。
……ひとまず大丈夫だな。
私は息を切らし、その場で足が崩れた。
「はぁ……はぁ……」
疲れた……だが、ここでへばっている場合ではない!
どうすればいい……このまま安息の地に幽閉していても仕方がない。
なんとか……なんとかしなければ……
そんな事を考えていると、携帯の通知音が鳴った。
内容を確認すると……卓郎さんからだった。
『た、大変だ! 突然……変な格好をした人たちが家を襲ってきてる!』
……なんだって!?
件のヒューモンスターは既に昇が倒し、翔琉たちが変身者の少女を移送させた……今度は何だと言うのだ?
変な格好……まさか!?
『我々セントレアコーポレーションは、この騒動に終止符を打つべく、新たなアプリを開発しました』
『このように、アプリを起動するだけで武装することができます!』
『この威力ならば、モンスター人間など一網打尽です!』
『こちらのアプリを……本日、たった今から、無料で提供したいと存じます』
……あのアプリの使用者か!?
いかん! 早く鍵屋に戻らなければ!
私は起き上がり、転移ホールを作成した。