第二百四十話 超鍵スキル、超強すぎる
「昇! その鍵は一体……」
突然、昇がケースから、見たこともない鍵を取り出した。
なんだあの鍵は……あんな鍵、私は作った覚えはないぞ!?
昇はその得体のしれない鍵を……腕輪に挿しこんだ。
『超! 鍵スキル!』
超……鍵スキルだと!?
なんだそれは……。
私がスキル名に困惑している中、昇は変身動作を開始した……。
「……スキルチェンジ」
『スキル解放!』
「うぐ!?」
昇が……腕輪を抑えて苦しみだした。
「おい! 昇!」
私はすかさず昇に向かおうとした……が、謎の力で近づくに近づけない……。
『超ヤバすぎる! 超強すぎる! 超鍵スキル!』
「う、うぐ……ぐわあああああああああああ!!」
「昇!」
昇の全身に、金の装甲が無理矢理張り付いた……ように見えた。
私はその姿に見覚えがあった。
そう……あの時、夢に出てきた、あの姿のようだった。
頭からつま先まで金の装甲が覆いつくされていて、両腕の途中からドライバーのような槍が生え、装甲からは棘が生えている……。
『超! ヤベーイ!!』
腕輪からふざけた音声が流れ、まるで私を嘲笑しているようにも聞こえた。
「ふふふふふ……アハハハハ!」
化け物の姿をしたヒース長官が……爆笑している。
まさか……。
「貴様……昇に何をした!」
あんなふざけた鍵……私以外で作れるのは……。
「すべて計画通りだ! アハハハハ! その鍵はなぁ……怒りの感情によって変身できるようになる鍵……超鍵スキルの鍵さ! こんな単純な構造の物……私が作れないわけがないだろう? その馬鹿げた音声も君の研究材料から拝借させてもらったよ……」
「貴様……」
じゃあ、さっきから私たちを馬鹿にするような発言をしたのも……昇の感情を高ぶらせるためだったというのか!?
「おい! 昇! 冷静になれ!」
私は咄嗟に昇に向かって叫んだ。
だが……。
「潰す……憎い……」
昇は効く耳を持たず、まるでアンデッドのように体を揺らしている。
そのまま、金の装甲に身を纏った昇は、長官に襲い掛かった。
昇は両腕の槍のような棘を振り回し、長官に攻撃を開始する。
「ぐは!?」
攻撃に手ごたえがあるのか、ヒース長官は攻撃を受けた場所を抑え、後ずさりをする……。
「なかなかやるねぇ……じゃあこれならどうだ!」
ヒース長官はスライム片足を伸ばし、昇の体を締め付けようとした……が、その攻撃は棘を身に纏った昇には効かず、一瞬にして跳ね返された。
その後もヒース長官は、光の弾を放ったり、肉弾戦で攻撃を仕掛けようとするも、昇はいとも簡単に跳ね返した。
なんて力だ、あの化け物と戦えるなんて……。
「ははは……まぁいい、ここはひとまず撤退しよう……さらばだ、シェダルくん」
ヒース長官がそういうと、自身の体をスライムのように液体のようにし、どこかへと消え去った。




