表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

311/408

閑話 ヒューモンスター出現 5

 少し前、病院。


「こんな不味い飯食えるか!」

「あなた! 文句言わないの!」


 手術を終え、先ほどまで痛みで苦しんでいた姿とは裏腹に、食事に対して怒号を放つ小松恵吉を、息子である翔琉は遠目で見ていた。

 翔琉はその時、仲間たちの安否が不安で仕方なかったが、自身の叔父に母親を守るよう命じられたため、どちらを優先するべきか迷っていた。

 万が一に備え持っていた赤き剣……レッドセイヴァーを見つめ、決断を見て、考える。

 そんな時、病室のテレビに速報の映像が流れる。


『速報です! モンスター人間の目撃情報が出ました! モンスター人間は現在、祇園市内の住宅街を疾走中とのことです! 政府は、一般市民へのテロ行為だとして、自衛隊に……』


 翔琉は、その速報の内容に驚愕した。

 映像には、愁と薫が住む桐生地区の上空映像が流れたからだ。


(愁と薫が……だが……)


 ここで病院から離れてしまったら、両親を誰が守るというのであろうか?

 だが、いち早く愁と薫の所へ向かわなければまずい。

 翔琉は選択を迫られていた。


『繰り返し、お伝えいたします! 現在、祇園市にモンスター人間出現との情報が入ってまいりました! 付近の皆さんは命を守る行動を優先してください!』


 アナウンサーは、その選択の答えを迫るように、速報を伝えている。

 答えが決まらない翔琉は、病室の外を徘徊し始める。

 ……そんな時だった。


「若!」


 恵吉の側近である伊丹が、こちらに向かってきていた。


「あ、伊丹……」


 翔琉は、考え事をしていたためか、素っ気なく返事をした。

 その姿を見て、伊丹は困惑の表情を浮かべた。


「若……どうかなさいましたか?」

「……」


 翔琉は、黙っていても仕方がないと思い、現在の心境を伊丹に語った。

 母親を守らなければいけないが、同時に、現在友人がピンチであること。

 それを聞いた伊丹は……小さく頷いた。


「わかりました……では、私が奥様と社長を守ります!」

「……伊丹?」

「私を舐めないでください……こう見えて、大学時代は学費を稼ぐために冒険者として数多くのダンジョンを渡り歩いてきましたから……」

「へ、へぇー……」


 初めて聞く伊丹の過去話に、翔琉は若干感心した。


「お友達や仲間がとても大事なことは、私もよく分かります!」

「……冒険者時代に学んだの?」

「はい! ……話を戻しますが、若が今やるべきことは、お友達の所へ急ぐことだと存じます」

「伊丹……」


 翔琉は伊丹の言葉聞き……決断した。


「伊丹……ここを任せてもいい?」

「……任せてください!」

「……頼んだよ!」


 翔琉は後を伊丹に任せ、病院の外へと駆けた。

 通常、病院の中では走らないというのは暗黙の了解であるが、今の翔琉には、そんなことを考える隙もなかった。


 外に出た翔琉は、早速携帯に向かって呪文を唱えた。


「スキル実装!」


 待機音をバックに、翔琉はスマホを赤い剣に携帯を挿した。


『剣スキル、アームド! チャンチャンバラ! レッドセイヴァー!』

「……レッドセイヴァー!」


 レッドセイヴァーに変身し、掛け声を叫んだ翔琉は、ウサギ型のバギー……マシンラビットを展開した。


「待ってろ! 皆!」


 翔琉はマシンラビットに跨り、皆の待つ桐生地区へと急いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ