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第二十八話 好きな料理、動かない箸

 行ったり来たりで……もう辛い……

 あの後何往復も、鍵屋と安息の地を往復した。

「持って行くものが山ほどある」と言っていたが、その内容は紅茶セットだったり、工具だったり、本だったりと……


 重い物から割れ物まで、文字通り山ほどある上に運ぶのに神経を使った。


「よし! これで全部だな!」


 空き部屋に持ってきたものを置いていくシェダル。


「俺マジで三半規管弱いんだよ……車乗るだけでも酔うのに……」

「それを鍛えるいい機会だったろ?」

「……」


 三半規管を鍛えるってなんだよ!? ふざけんなよ!?

そう反論したかったが、そんな気力も残ってなかった。


「昇くん! シェダルちゃん! 夕食の準備ができたよ!」

「よし、昇! 行くぞ!」


 例によって、シェダルは俺の腕をつかんで連行した。

もう、抵抗する気も起きない……



「さ、召し上がれ! 昇くんの大好きな料理! オムライスに、チンジャオロースに、フライドポテトに、チョコレートケーキだよ!」

「まぁ、とっても美味しそう! 昇もそう思うだろ?」

「あぁ……」


 確かにどれも好きな料理だが、食欲が湧かない……


「さ、いただこう! いただきます!」

「あら日本らしい! 私も、いただきます!」

「いただきます……」

「さぁ昇、若いんだから、どんどん食べろ!」

「お、おい……」


 若い? 俺とあんまり歳は変わらないように見えるが……というか量多いわ!


「人数が増えると、賑やかでいいねぇ」


 叔父さんは、いつものようにニコニコしながら、そう言った。

 気分が悪くなっているときに、脂っこいものを二つも食べなければならないこの状況、拷問だろうか?


「昇くん! そういえば、叔父さんの買ってきた剣、役に立ったかな?」

「あ、あぁ……まぁ、一応」

「良かったぁ~、奮発した甲斐があったよ! 剣だけに、「堅」実な買い物だったかな? ははははは!!」


 叔父さんのくだらないダジャレが炸裂した、シェダルも流石にドン引き……


「あはははははは!! おい昇! 剣だけに堅実だと! あははははは!!」

「……」


 シェダルは持っていた箸を置き、両手を俺の肩において爆笑した。

 おいおい、ダジャレでこんな笑う人初めて見たぞ。

 叔父さんもこの姿にはドン引き……


「あはは! シェダルちゃん、ダジャレ好きなんだね!」


 ……するわけもなかった。


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