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閑話 魔法壁

『モンスター人間に告ぐ! こちらは祇園警察署である! 直ちに止まりなさい! 止まらなければ実力を行使する!』


 住宅街に差し掛かる交差点。

 警戒をしていた警察、冒険者が集結し、これ以上通させまいと各々重武装で待ち構えていた。

 だが……ゴーレムヒューモンスターは止まらない。


「邪魔だ……邪魔だ!」


 ゴーレムヒューモンスターことカルデナは、警察の制止の声に耳を貸さず、全身を続ける。

 警察は、初めてこのヒューモンスターに遭遇した時の反省から、対策を考えていた。

 それは……。


「今よ! 壁展開!」


 警察は冒険者に、ギルドにいる魔法スキル持ちを集結させるよう要請した。

 その目的は……魔法で出来た壁、すなわち魔法壁を展開させ、ヒューモンスターを足止めをする。

 これはミノタウロスヒューモンスターの反省でもあった。

 警察は、ただ車を集結させたり、鉄の壁を作るだけではいけない、もっと硬い壁なら、冒険者 ギルドにいる魔法スキル持ちならば作れるはずだと考えた。


「了解! 皆! 壁展開!」


 剣が鍵屋を守っているため、臨時で指揮を執る春香が、魔法スキル持ちの面々に指示を出す。

 春香の指示を聞き、魔法スキル持ちたちが、各々呪文を唱え、城壁のような一枚板を生成した。


「皆! その調子! 無理はしないようにね!」

「おお!」

「これで奴も止まるぞ!」

「冒険者もなかなかやるな!」


 警察も、魔法スキル持ちの腕前を絶賛した。

 この城壁を目の前にすれば、ヒューモンスターも止まる……と考えていた。

 しかし……。


「邪魔だ……邪魔だ!」


 ゴーレムヒューモンスターはそれをものともせず、前進を続ける。


「ま、まずいんじゃないか!?」

「大丈夫よ、皆の力なら……」


 春香は、不安に思う警察に対し、かなり自信満々な答えを言おうとした……その時だった。

 ゴーレムヒューモンスターは持っていた棍棒で、城壁を打ち破ろうと攻撃を始めた。

 城壁にひびが入り始め、展開した魔法使いたちは焦りの表情が出始める。

 ゴーレムヒューモンスターは変わらずひびに向かって攻撃を続けている。


「これやばいんじゃないか……?」


 警察の1人がそう口にする。


「……みんな! 戦闘態勢に入れ! ここでこいつを止めるぞ!」


 近接部隊を仕切る峰田は、この状況がまずいと考え、城壁の中にいる冒険者たちに指示を出す。


「総員! 退避! 退避!」


 警察は、自分たちが介入しても仕方がないと判断し、城壁の中にいる警察官の安全を第一に考え、退避を命じた。

 やがて、城壁のひびが大穴に変わり、そこから穴が広がり始め、ついに城壁が打ち破られてしまった。


「畜生! テメェ、何に恨みがあるか知らねぇが、止まりやがれ!」


 峰田率いる近接攻撃メインのメンバーが、ゴーレムヒューモンスター目掛けて突撃を開始した。

 突撃した冒険者たちは各々、剣や鎚などを構え、攻撃を開始する。

 しかし……。


「ぐわぁぁぁ!?」


 ゴーレムヒューモンスターは、まるで虫を払い除けるように、冒険者たちを吹っ飛ばした。


「皆! 攻撃!」


 春香率いる遠距離攻撃部隊が、弓や魔法で攻撃を開始する。

 だが、やはりゴーレムヒューモンスターの硬い肌を打ち破ることができなかった。


「……このままじゃまずい」


 春香は決断に迫られていた。

 このままでは冒険者が全滅してしまう、しかし、ここで通すことを許してしまえば、市民に危険が及ぶ。


「……春香さん!」


 春香が決断を迷う中、倒れていた峰田が、春香に向かって叫ぶ。

 春香が我に返ると、ゴーレムヒューモンスターは……既に通り過ぎていた。


「私としたことが……」

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