第二百三十七話 社長の携帯、社長が覚醒
「昇!」
「シェダル! 俺の事はいいから早く行け!」
「馬鹿か!」
シェダルは俺に近寄り、抱えようとしている。
だが……今は……。
「君たちを行かせるわけにはいかないよ……ここで死んでもらう……」
社長はそう言うと、先ほどとは違う携帯を取り出した。
その携帯は……歪な形をしていた、まさか……。
「……ヒューモンスターの……携帯?」
こちらからでも、はっきりと見えた。
間違いない……あれは……そうだ。
「私の携帯は……一味違うぞ?」
社長はそう言うと、自ら腕輪を付けた……。
自分で身につけて、自分で苦しみだしている……。
「アハハハハハハ! 最高の気分ダァ……」
「……」
ヒース社長は笑顔で体をくねらせていた。
こいつ……完全にイかれちまってる……。
ヒース社長は、俺たちを指差して、口を開いた。
「モンスターの中で……一番強い存在……君たちにわかるかな?」
「一番強い存在?」
一番強い存在……俺はその言葉に聞き覚えがあった。
そうだ、あれはダンジョンの第14階層の入り口前まで行った時……。
『おめでとう、ここからは……本当に強いモンスターがいるぞ』
『……そういえば、最後の15階層には何がいるの?』
『まだ習っていないのか? 15階層にはな……』
『15階層には……?』
シェダルとこんな会話をしていた。
ま、まさか……。
「私の望みは……この星を支配する手始めに……この国、日本をわがものにすること!」
「……」
「覚醒……」
社長はそう言って、携帯の電源を入れた。
『魔王!』




