第二百三十三話 転移装置、声の言う通り
「この装置は……転移装置だ」
……え?
「転移……装置?」
「あぁ……」
「それって……どういう事?」
俺はシェダルの言っていることが理解できなかった。
まず転移装置とは言っても、何の? 何故そんなものがセントレアコーポレーションの地下に?
「この装置のコンピューター……それがこれだ」
シェダルはそう言って、装置の隅にある、画面を指差した。
「このコンピューターにある転移記録を見てみたんだが……」
「……」
「最後に転移したのは……」
シェダルが最後に転移した場所を口にしようとした、その時。
『ウトピアとダンジョンだよ!』
シェダルではない誰かの声が、天井から聞こえた。
「……だ、誰だ!?」
シェダルは天井に向かって叫んだ。
……俺は天井の声よりも気になることがあった。
「シェダル……最後に転移したのは……?」
「……この声の言う通りだ」
「この声の……言う通り?」
「あぁ……最後に転移したのは……」
シェダルは、天井が行っていた内容を復唱した。
「ウトピアとダンジョンだ」
……聞き間違いじゃない。
最後に転移したのは……ウトピアとダンジョン。
これって……。
「どういうこと?」
「さぁ……私にも……」
俺たちが混乱する中、天井から再び声が降りてくる。
『仰る通り……それは転移装置だ』
「い、一体何のために!?」
俺は天井に向かって叫んだ。
最後に転移したのがウトピアとダンジョン、5年前に起きたウトピアとダンジョンの出現、そして……転移装置が、セントレアコーポレーションの地下に存在している。
これが表すのは……つまり。
『それは勿論……この星を支配するためさ』
「……どういうこと?」
頭が追い付いてこない。
星を支配する? そのためにウトピアとダンジョンを転移? というかこの声……。
「その声……ヒース長官ですか!?」
シェダルは再び天井に向かって叫んだ。
確かに、この声に俺は聞き覚えはあった……が、まさか……本当に?
「そうだ……私だよ、シェダルくん」
「うわぁ!?」
突然、扉が開き……テレビで見覚えのある顔の人物が出てきた。
それは紛れもなく……。
「ヒース……社長?」