第二百十五話 辛い夕飯(ゆうめし)、砂嵐
「やはり卓郎さんの料理は美味しいですね!」
「ありがとう、シェダルちゃん」
シェダルは叔父さんの料理の感想を徐に語った。
一方の俺はといえば……。
「……辛い」
叔父さんの本格派カレーの辛さに悶絶していた。
叔父さんは相変わらず、料理に関しては手加減を知らない。
叔父さんが本格派と言えば必ず本格派なのだ。
カレーはとろみが無く、ほぼスープ状。
そして……。
「……肉が無い」
「昇くん! 本場は鶏肉なんて使わないんだよ! 野菜オンリーなんだよ!」
「……何度も聞いたよそれは……」
曰く、本場は水を一切使わない、野菜の水分だけで十分だという。
そしてよく見る鶏肉カレーは邪道なのだという
そしてカレーとご飯を一緒にせず、別皿での提供だ。
本来ならば右手のみを使用するらしいのだが、ここは日本なので別に構わないだろう、うん。
『本日未明、祇園市内の小松工務店社長宅と、同市内の喫茶店がモンスター人間に襲われた事件。犯人の正体は依然不明で、現在行方が分かっていません、周辺住民の皆様は、命を守る行動を優先してください。また、祇園市は、住民の一斉避難を検討しているとのことで、現在も協議を続けています、繰り返しお伝えしますが、命を守る行動を優先してください』
テレビでは、翔琉と悠里の家が襲われたニュースをやっていた。
翔琉、悠里……今なにしてるかな。
翔琉のお父さんは無事なのだろうか? 悠里のお父さんは自衛隊として出動してるみたいだけど、無事に任務を終えられるのだろうか?
そして愁と薫……襲われないか心配だ。
そして俺も……叔父さんを、この鍵屋を、そして……シェダルを守れるのであろうか?
ニュースを見て、そんな不安が出てくる。
叔父さんの言っている通り、警察や自衛隊、冒険者に……俺たち自身を信じるしかないか。
だがなぁ……。
「……あれ?」
俺が考え事をしている中、叔父さんが突然困惑の声を上げた。
ふとテレビを観ると、先ほどまでのニュース映像ではなく、まるで一昔前のテレビでありそうな、グレーの砂嵐の画面になっていた。
「……故障ですか?」
シェダルもこの状態に困惑したのか、叔父さんに質問した。
……シェダルの言い分には違和感があった、何故なら。
「いや? このテレビ、数か月前に買い替えたばっかりだよ?」
「そうなんですか……」
そうだ、このテレビは数か月に買い替えたばかりだ、故障はまずありえない。
だが……だとしたら何なのだろうか?
「ちょっと待ってね、叔父さん説明書取りに行ってくるから」
叔父さんはそう言って、一旦食卓を後にした。
「ほんと、一体何なんだろうな? 昇」
「まぁ、故障だとしてもまだ保証書は有効だし、大丈夫だとは思うけど」
「ま、もしも故障だったら二度とこの会社のテレビは買わないほうが良いな」
「……故障だったらね」
「……あぁ」
俺たちが困惑する中、突然、砂嵐状態が回復した。
画面の中には、金髪の男性が現れた。
……この人物って確か。
「……セントレアコーポレーションの社長さん……だっけ?」
そうだ、この街で有り得ないくらいデカいビルを所有している企業。
確か名前は……。
「……ヒース長官」




