第二百十話 強くなろう! 皆行こう!
「同志!」
「……剣さん!」
捜査協力をしていたであろう剣さんが、こちらに駆け寄ってきた。
「来ると思ってたぜ! ……大丈夫か?」
剣さんは、冷静ではない状態の翔琉を見て、心配になっているようだった。
「実は……」
俺は、被害にあったこの家が、今冷静ではない少年……翔琉の家だという事。
翔琉の父親が、ヒューモンスターに襲われたことを話した。
「……なるほどな、確かにそれじゃあこんな状態にもなる、心情、察するぜ」
剣さんは翔琉の近づき、肩を叩いて語りかけた。
「翔琉っていったよな? 総司大通りの事件や自衛隊の事件の時は助かったぜ」
「……」
「いいか? お前は昇やシェダルと同様、モンスター人間に対応できる奴の1人だ」
「……」
「冷静でいられないのは分かる、身内をやられちまったんだ、誰だってそうなる」
「……」
「男はそういう時に強くなるんだ、誰かを守るためにな。お前は強い奴だと確信している……だから、そう落ち込むな、お前なら犯人を撃退できる」
「……」
翔琉は剣さんの言葉を黙って聞き続けていた。
剣さんの言葉を聞いた翔琉は……涙を拭き、立ち上がった。
「……ごめん、皆」
「……翔琉?」
翔琉は俺たちに向かって振り向いて……頭を下げた。
「ここで動かなかったら、できるものもできないしな……皆、行こう!」
翔琉は頭を上げ、笑顔でそう言った。
勿論俺たちの答えは……。
「当たり前だろ!」
「もちろん、当然だ!」
「おうよ!」
「うん!」
「……はい!」
俺たちは現場へと前進した。




