第二十二話 スキルは転移、場所をイメージ
「おいおい! どうする気だよ!」
「あぁ、お前が倒したモンスターは私が後で処理しておくから」
「あぁ、それは良かった、ってちげぇよ! その鍵は一体何なんだよ!」
「ほら、もうすぐ外だ!」
俺は最初にここに来た時に見えた花畑に再び足を踏み入れた
この場合は外というよりかは、中からまたその中に出たということなのでは?
……混乱するからやめよう。
「さぁて! 行くぞ!」
『転移スキル!』
「て、転移スキル!?」
シェダルは持っていた鍵を自分の腕輪に刺した。
腕輪からは例によってテンション高めな音声とダンスミュージックが広大な花畑に響く。
シェダルは俺の腕をつかみながら鍵を回した。
『スキル解放! 移りたすぎる! 転移スキル!』
シェダルは、サイズの合わない紫色のローブを纏い、これまた紫色の水晶が付いた杖を装備した姿になった。
っていうか……
「移りたすぎるってなんだよ!」
「意味は気にするな! さぁ、どこに向かえばいい?」
「ええっと……」
戻る、か。
色んな事がありすぎてすっかり忘れてしまったが、どんな顔して戻ればいいのだろうか?
『やっぱ鍵スキルは使えねぇな!』
『レベル1は足手纏いなんだよ!』
『クソの役にも立たないわね!』
『使えない人……』
夢での出来事が、再び頭の中で再生された。
あそこまで印象深い夢は、今後見ないだろう。
あいつら、俺のこと恨んでるのかな……
『……お前らここで死んどけ!!』
ふと、自分で言ってしまったことを後悔する。
あんなことを言ったんだ、きっと奴らも俺に対して同じことを思っている。
「おい! 昇!」
「!?」
シェダルの声で、我に返る。
いけない、今は戻るんだ
……仮にくたばれとか、あのまま死んどけばよかったのに、とか言われても仕方がない。
俺は覚悟を決めた。
「……学校、多分そこなら確実かな」
多分俺一人のために待機させるわけもなく、バスはきっと学校へ向かう。
確証はないが、そう考えた。
仮にそのまま待機していたとしても、どの道学校に戻るのでこっちの方が確実だと考えた。
「よし! じゃあイメージしろ!」
「はぁ!?」
「場所をイメージしろ!」
「えぇっと……」
イメージってなんだよ、なんでそこは曖昧なんだ?
「イメージしたな?」
「したけど、それに何の意味が?」
「このスキルはイメージしたところに好きなだけ転移ができるユニークスキルなんだ!」
「そんなスキル聞いたことねぇぞ?」
「世界に一人2人はいる筈さ、さぁ行こう! 学校へ!」
「おいおいちょっと待て! まだ心の準備が……」
シェダルは杖で円を描き、ブラックホールのような渦を出現させた。
渦からは吸い込まれるような力が働き、今にも吸収されそうに思えた。
「うおおおおおおおおお!? なんだこれ!?」
「しっかり捕まってろよ!」
「ちょっと待てって!」
「問答無用!」
「うあああああああああ!?」
シェダルは俺の腕をつかんだまま、渦の中へジャンプした。