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第百九十四話 出迎えた、考えは?

「昇さん……シェダルさん……来てくれて……ありがとう……」

「いやいや、呼んでくれてありがとう」

「愁の事は私も心配だからな!」


 二階に上がると、早速、薫が出迎えてきた。


「昇さん……風邪……大丈夫?」

「お、おう! ちょっと怠さはあるけど……」

「無理……しないでね……」

「あ、ありがとう」


 薫、なんか初めて会った時より明るくなった気がする。

 叔父さんも最近、俺が変わったとか言ってたけど、こんなふうに思っていたのだろうか?

 そんなこんなで、俺たちは部屋の前まで誘導された。


「お茶……持ってくる」

「いやいや、お構いなく……」


 ついつい、前に鍵屋に来た翔琉が言っていたことを言ってしまった。


「昇! せっかく薫が出してあげると言っているのだからここは言葉に甘えろ!」


 シェダルが俺の肩を叩いてそう言ったので、俺はシェダルの言う通り、お言葉に甘えることにした。


「わ、わかったよ……」

「じゃ……部屋で待ってて」


 薫は扉を指差してそう言った後、階段を下りて行った。

 部屋の扉を開けると……


「よ! ようやく来たな!」

「待ってたよ! 昇くん! シェダルちゃん!」


 いつもの2人がいた。

 翔琉と悠里だ。


「お前らも呼ばれたの?」

「おう!」

「ウチらも愁の事心配だし!」


 やっぱり皆、思っていることは同じか……。

 こいつらの場合、俺やシェダル、それに薫よりも長い時間愁と一緒だから、余計に不安だろうな……。


「いやはや、素晴らしい友情だな!」

「ははは、シェダルちゃんにそう言われると照れるって!」


 シェダルが俺たちを褒め称えると、悠里は頭をかいて照れ始めた。

 ……友情ねぇ、前はそんなものって思ったけど、そうなのかな。


「おま……たせ……」


 薫が扉を開けて、緑茶を人数分持ってきた。


「ありがとう、薫」

「なんか申し訳ないな」

「薫ちゃん! ありがとう!」


 俺たちはそれをいただきつつ、作戦会議へと乗り出した。


「……で、元気づけると言っても、どうすんの?」


 最初に切り出したのは翔琉だった。


「確かに、俺もそう思った」

「薫ちゃん、考えあるんでしょ?」

「あ、あの……えっと……」


 ……ん? なんか焦ってない?

 まさか……。


「もしかして……」

「……何も考えてない?」

「まさか! ……マジで?」


 俺たちは薫に近づいて聞いてみた。

 そうだ、まさか何も考えなしに……。


「ご、ごめんなさい……まだ何も……」


 ……考えなしに行動していた。

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