第百八十二話 病気の君を、私が介護!
「ほら! 脱げ!」
「はいはい……」
俺はシェダルに手伝われて、再びパジャマを身に纏った。
「うーむ……恐らく10階層の寒さで抵抗力が落ちたのか?」
「……ぽいかも」
「すまんな……無理させてしまって」
「いいよ……レベルも上げられたし……今日は寝てるから、お前は一人でダンジョンでも……」
「馬鹿か! 病人を放っておけるか! さ、ベッドに入ってろ!」
「はいはい……」
俺はシェダルに誘導され、ベッドに潜った……って。
「……なんでお前まで入るんだよ……病気が移るだろうが」
「人間の病気は私には効かん、150年生きてて様々な病気の抗体ができてるからな」
「……それ凄いな」
「だろ?」
150年も生きていたら色んな抗体ができるのか……。
そして、例によって再び添い寝……嬉しいけど。
そんな事を考えていると……部屋のドアを叩く音が聞こえる。
『お粥持ってきたよ!』
……叔父さんだった。
「私が持ってくるからお前は寝てろ」
「おう……」
遠目で、叔父さんがシェダルにお粥が入っているであろう鍋とスプーンが乗ったお盆を受け取っているのが見えた。
「じゃ、叔父さん仕事行ってくるから……昇くんをよろしくね、シェダルちゃん」
「はい、いってらっしゃい、卓郎さん」
叔父さんは仕事へ行ったのか……階段を下がっていく足音が聞こえた。
「さ、昇」
「……なんだよ」
「私が食べさせてやる」
「自分で食えるよ……」
「無理をするな、昨日頑張りすぎてこうなったんだろ? これはほんのお詫びだ」
「お詫びも何もねぇだろうが……」
「いいから、ほれ」
シェダルはスプーンでお粥を掬い、俺に差し出してきた。
「口を開けろ」
「……」
俺は口を開け、渋々お粥を迎え入れた。
「どうだ? 美味いか?」
「叔父さんが作る飯は美味いに決まってるだろ……」
「だろうな、ほれ、もう一口」
「はいはい……」
なんだよこれ……逆老人介護か?
「おっと、そういえば翔琉たちに連絡しておこう……」
「なんであいつらに……」
「友達だろ?」
「……あぁ」
全く……まぁ、心配かけるのも悪いか。
後で連絡しておこう……
てなわけで俺は……登校再開の日に、風邪を引いてしまった。




