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第百六十一話 得た信用、俺もそうしよう

「羽田さん、娘さんを……俺たちを信じていただけないでしょうか?」


 ……ここは俺も言おう。


「俺も……翔琉と同意見です、信じてください」

「私からもお願いします」


 シェダルも頭を下げてお願いをした。

 ……悠里のお父さんに届くのだろうか?


「……翔琉くんが言うなら、信じてあげよう」

「ありがとうございます」

「ただし、翔琉くん」

「はい」

「……悠里を、守ってあげてくれ」

「……はい!」


 悠里のお父さんは翔琉の言ったことに納得したのか……基地の中に戻っていった。


「さて! 後は俺たちに任せて、お前らは体を休めててくれ!」

「何かあったら連絡するね」

「ありがとうございます、剣さん、春香さん」


 俺たちは礼を言って、基地の外を出た。

 ふぅ……一応悠里の家族には公認に……なったのかな?



 基地に門に、悠里が寄りかかって待っていた。


「……パパ、なんか言ってた?」

「あぁ、俺たちが事情を説明したら納得してくれたよ」

「……そう」


 いつものテンションが高い悠里と違うので、なんだか不安になる。

 翔琉は悠里をエスコートし、バギーに乗せた。


「それじゃ、またなんかあったら連絡頼む」

「おう!」

「気を付けて帰れよ!」

「昇とシェダルちゃんも、気を付けて!」


 翔琉は手を振って、バギーを走らせた。

 悠里は終始下を向いていた。

 ……大丈夫かな、悠里。


『何でそういう話になったのかは分からないけど……ウチは昇くんが昇くんらしくしていればいいと思うよ! そのうちそういうのは分かるって!』

『それにウチらまだ高校生でしょ? まだそういうのなんて分かるわけないじゃん! でしょ?』


 ……悠里に言われたことをふと思い出す。

 俺らしく……か。

 悠里はああ言ってくれたけど……俺はやはり、シェダルに認められるような男になりたい。

 でも、悠里の言ったことにも一理ある……俺らしく、男になろうかな……。


「今日のお前、少し変だぞ」

「え?」


 考え事をしていると、シェダルがそう言った。


「何かあったのか? 言ってみろ」

「……」


 ……男らしさ、大人らしさを2人に聞きに行って、戦闘中も、そして今も、そのことを考えていただなんて、言えるわけがない。

 戦闘でも援護されっぱなしだったし……と言っても最後は決めたけどさ、翔琉と一緒にだけど。


「ほう、言わないつもりか」

「……」


 俺は何かを察し……両手を広げたシェダルを避けた。

 ……いつもの抱き癖だ。


「こんな所で抱くんじゃねぇよ!」

「なんだ? 好きな女に抱かれるのは嫌か?」

「嫌……じゃねぇけど、こんな所でやるなよ!」

「ほう? 戻ったらいいんだな?」

「……」


 シェダルはニヤニヤしながら俺をからかってくる

 こいつ、本当に……。


「だから子ども扱いすんなよ!」

「お前は子ども! 何度も言わせるな!」

「そうかよ!」


 俺は恥ずかしくなって、目線を逸らした。

 全く、大人ってなんだよ……。


「さて、冗談はここまでにして、私たちも帰ろう、昇」

「……あぁ」


 シェダルは転移スキルに変身した。

 それにしても悠里、大丈夫だろうか? ……お父さんの事で何かあるのかな?


「おい、昇! 早く入れ!」

「あ、すまん」


 転移ホールに入っている間、俺は悠里のテンションが気になって仕方がなかった。



「それじゃあ、またな、悠里」

「……うん」


 翔琉は悠里を喫茶店まで送った。

 悠里は未だ、元気が無い状態だった。


「……ごめん、翔琉。気を遣わせちゃって」

「いいって! それよりも、今は体を休めよう、な? 変身して疲れ溜まってるだろ?」

「……翔琉の方が疲れてるでしょ?」

「ま、まぁな!」


 悠里は翔琉と話をすると、若干元気を取り戻したのか、笑みを浮かべた。


「じゃあな!」

「うん! 翔琉も道中気を付けてね!」

「おうよ!」


 翔琉は手を振り、バギーを走らせた。

 悠里は喫茶店に入り、帰宅したことを中にいる母親に言った。

 悠里は店のカウンターに座り、父親の事を考え始めた。


『悠里! 大丈夫か?』

『悠里……お父さん、頑張ったよ……』

「……パパ」


 悠里は過去の事を思い出し……涙を浮かべた。

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