閑話 待機する者たち
一方、他の同級生が待つバスの中。
「ええ、皆さん! よく聞いてください! 承知の通り、金剛さんがダンジョン内で行方不明となってしまいました、このまま皆さんをここで待機させるには行けないと判断したため、一旦学校へ戻ります! ただいま警察の方も後ほど加わり捜索するということなので、心配ですが、行きましょう!」
昇が眼鏡と呼ぶ教師が、そう伝える。
「私は他の先生方と今一度話し合うので、皆さんはここで待機していてください!」
眼鏡の教師は外に出た。
車内はお通夜ムードとなっていた。
そんな静けさに一石を投じるように、生徒の間では、小声で会話する声が充満した。
「ねぇねぇ、あの鍵スキルどうなってると思う?」
「死んでるんじゃない?」
「翔琉くんにあんなこと言わすなんてねぇ」
「翔琉も何であんな奴擁護するんだろう?」
その会話を当事者の一人である者が聞こえないわけがなかった
翔琉は拳を握り締め、怒りを我慢していた。
「な、なぁ翔琉、きっとあいつは大丈夫だよ!」
「そ、そうだよ! あんなにタフならダメージ与えられなくても気合で抜けてくるって!」
愁と悠里は、翔琉を宥めるようにそう言った。
一方、3人とは離れた位置に座る薫は下を向きながら不安を露にしていた
(金剛くん……どうか無事でいて……)
班メンバーの4人は、他の生徒とは違い、仲間の安否を不安がっていた。