第百五十七話 頼りない、しょぼい攻撃
「嘘だろ!? 普通あんなん食らったら……」
「多分、メガルホーネットの特徴である毒針攻撃を利用して、ミサイルを相殺させたんだろう」
なるほど、奴の特徴的な攻撃である毒針発射で相殺させたのか……。
って、感心してる場合じゃない!
「おいおい……こっちに接近してるぞ!」
「まずい! あいつらの武器じゃ奴に対抗できんぞ!」
「応戦しよう!」
「もちろん!」
俺たちは物陰から出て門の前に移動し、矢を発射する準備を整えた。
「冒険者有志だ!」
「応援が来たぞ!」
基地からそんな声が聞こえる。
……なんか照れるな。
そんな風に考えていると、既に奴は三階建ての家ぐらいの高さまでいた。
「打て! 昇!」
「おう!」
俺たちは弓を放った。
奴に向かって矢を放つ……が、当たらない。
「おいおい、どうすれば……」
俺はシェダルの方へ向いた。
「……昇、たった今思い出したのだが、メガルホーネットの弱点、覚えているか?」
「……水か!」
俺たちは弓スキルの鍵を外し、魔法スキルの鍵を刺した。
『『魔法スキル!』』
「「スキルチェンジ!」」
『『スキル解放! 唱えすぎる! 魔法スキル!』』
よし! これで水をぶっ放せば……。
「昇! 危ない!」
「うお!?」
シェダルが突然俺を掴んで倒れた。
先ほど立っていた位置に……毒針が刺さった。
倒れた状態で基地の方を見ると、隊員達の前にも毒針の雨が降り注いでいた。
隊員たちは一時的に奥へと逃げて行っていた。
あぁもう! またシェダルに援護されちゃったよ!
……今はこんなこと考えている場合じゃないか。
「昇! 水を放出して突き落とすぞ!」
「わかってらぁ!」
俺は思わずべらんめぇ口調になってしまった。
イメージ……杖から水……杖から水……杖から水!
いけ!
「……おい! なんだその水の量は!」
「ご、ごめん!」
あぁもう! 考え事したせいでいつぞやの蛇口レベルの水しか出せなかった!
対するシェダルは滝行レベル……俺は自分にガッカリした。
まぁいい! 蛇口レベルだろうが水は水だ! これで突き落としてやる!
……と考えていたが。
「おい昇! しっかり狙え!」
「狙ってるよ!」
……中々命中しない。
対するシェダルは水を命中するのに成功し……奴を突き落とすことに成功した。
またかよ! ……頼りなさすぎるだろ、俺。