第百五十六話 場所は横目市、自衛隊基地
「待たせたな! 昇!」
「シェダル!」
悠里と昇が出発して間もなく、シェダルが転移ホールから現れた。
「確か場所はどこだっけな?」
「隣町の『横目市』だよ」
ラジオでは横目市の自衛隊基地付近に出たという情報が出ていた。
「急ごう! 翔琉と悠里は先に向かっているのだな?」
「おう!」
シェダルが転移ホールを作り、俺たちは目的地へと向かった。
◇
「なぁ、悠里」
「何?」
翔琉はバギーを運転しながら、悠里に話しかけた。
「……確かお前のお父さんって、航空自衛官だよな?」
「……そうだけど」
悠里の父親は航空自衛官で、なかなか家には帰ってこない。
「……横目にある基地って確か航空自衛隊だよな?」
「……」
「もしかしたら、お前のお父さんが……」
「……かもね」
「……」
悠里は父親が国を守る仕事に就いているのは知ってはいるものの、中々帰ってこない父親に、嫌悪感を抱いていた。
悠里の素っ気ない態度に、翔琉は何も言い出せずにいた。
(……パパ)
悠里は現場に向かう途中、父親の事を考えていた。
◇
「ここか!」
「あぁ!」
横目の航空自衛隊の基地の前に着いた。
俺たちは物陰に隠れて、様子を見ることにした。
基地の正門前では……。
「どうやら、この国の軍隊は優秀のようだな」
シェダルがそう呟いた。
そう、門の前では既に、自衛隊員たちが武装をして、襲撃に備えていたのだ。
トラックのような物が数台止まっていて、隊員たちは銃を構えていた。
ラジオでは、空を飛ぶモンスターがまっすぐ航空自衛隊に向かっていると言っていた。
「……悠里と翔琉はまだのようだな」
……思えばシェダルを待って一緒に転移ホールに入ればよかったかも、でもじっとしていられないか。
「さぁ、私たちも準備をするぞ」
「あぁ!」
「……飛んでいるヒューモンスターのようだから弓スキルで行くぞ」
俺たちはケースから鍵を取り出し、ポーズを決め、鍵を刺した。
『『弓スキル!』』
「「スキルチェンジ!」」
『『スキル解放! 射抜きすぎる! 弓スキル!』』
俺たちは弓スキルの姿になった。
「……どこだ?」
俺は上を見上げ、ヒューモンスターを探した。
「あれだ!」
シェダルが上に向かって指を差した。
そこには……。
「あ、あれは!?」
「名付けるならば……メガルホーネットヒューモンスターだな」
そう、まるでデカい蜂を人間態にしたみたいなヒューモンスターが空から接近してきているのだ。
すると自衛隊の基地の中に止まっていたトラックのような物の荷台が……縦に向いた。
「あれはなんだ!? 昇!」
「多分……対空ミサイルかな」
そう、あのトラックのような物は、撃墜用のミサイルの発射台ようだ。
……だが、こんな市街地でぶっ放していいのだろうか? 住民の避難は済んでいるようだけど……。
そんな事を考えていると、発射台からミサイルが発射され、空を飛ぶヒューモンスター目掛けて飛んでいく。
そして……。
「お!? 命中した!?」
俺は思わず声を上げた。
そう、空中でそれが爆発したのだ。
これならひとたまりも……。
「……いや、奴は無傷だ」
「え?」
どういう事だ?
そんな風に考えていると……爆風から、ヒューモンスターが出てきた。