第百四十六話 ゴーレムの素材、建築素材
「おらああああああああ!! 吹っ飛べえええええええ!!」
俺は鎚スキルで、岩石のモンスター……ゴーレムを吹っ飛ばした。
ゴーレムは文字通り粉々になり、絶命した。
……なんかここのモンスター、8階層までのモンスターと違って、血や臓器が出ないから気楽にやれる気がする。
「さて、回収だ」
「おう」
例によって収納スキルになり、破片を回収した。
これは何に使うんだろう……石材とかかな?
たが今の日本で、石材を使う場面ってあるか? ビルはコンクリートだし、砂利に使うにも硬すぎる気がする……。
「なぁ、さっきのマグマスライム以上に、この破片の用途が分からないんだけど……」
「ウトピアでもあんま使ったところは見たことはないな、石を積み上げた建物なんて、大雨や強風には耐えることができても、地震などにはめっぽう弱いからな」
「だよなぁ……」
ヨーロッパの建物の多くは石造りというのはよく聞く話だ。
実際、行ったことないので真偽は不明だが、その辺りの建物が地震によって崩壊しやすいというのは聞いたことがある。
だが、日本でも大名の城の土台部分は石ではないか……?
もしかすると、それは石が重なり合って、それによる何かで土台が強度になっているということなのであろうか?
そう考えると、先人たちは素晴らしいアイデアを持っていたのだと感心する。
とまぁ、こんな風に色々考えながら処理を進めた。
「思ったんだけど、これ買取価格安い?」
「……そうだ」
「やっぱりか……」
「9階層のゴーレムは本当に割に合わん、図体がデカい癖に金にもならないという、二重苦だ」
悲しいな、でも俺たちの為に命を散らしてくれたわけだし、何かの役に立って欲しいと願う。
「さて、回収は終わったな、行くぞ」
「おう!」
回収が終わり、また俺たちは先へと進む。
◇
「ふぅ……どのくらい進んだ?」
「まだ真ん中あたりだ」
「まだかよ!? もうそろそろ10階層着いてもいいだろ……」
暑い中、俺たちは移動してはモンスターを退治し、また移動しては退治しの繰り返しだ。
モンスターと戦うだけでもめっちゃ疲れるのに、ここではそれに暑さまでも加わる。
マジ、プロの冒険者の人ってすげぇわ……内心馬鹿にしてたけどほんとすげぇ。
……プロの冒険者と言えば、剣さんや春香さんって普段からダンジョンに潜っているんだろうか?
ここを歩いていると、何人か冒険者っぽい人とはすれ違う……と言っても、本当に稀だけど。
あの2人は一応お偉いさんだし、下っ端冒険者の収入を吸って悠々自適に……。
「春香! 援護頼む!」
「OK!」
ん? この声は……。




