第百四十三話 まさかの二度寝、準備はOK!
「……さ、このままだと二度寝をしてしまう……ダンジョン探索を続けるか?」
「あ、あぁ……」
「ふぁー……でも、まだなんか眠いな……」
「お、おい……」
シェダルは再び、俺を強く抱き締める。
「すまないが……もうしばらく寝させてくれ……」
「お前さっき二度寝がどうこうって……」
「なんだ? 好きな女が悪夢に魘されているのを放っておくのか?」
「……それは反則だろ」
「ははは……じゃあ……今一度私を守ってくれよ……」
「あ、あぁ……」
シェダルは再び寝息を立て始めた。
まさかの二度目の依頼だが、これもシェダルの為だと考えると、苦では無かった。
俺はシェダルの寝息につられ、目を閉じた。
◇
「ふぁー……よく寝た!」
「……」
二度寝をして、俺たちはベッドから起き上がった。
「にしてもお前、抱き締める力が強すぎだ、私じゃなかったら今頃背骨がボロボロだぞ?」
「あ、ごめん……」
「そうガッカリするな! お前の愛情が伝わってよかったぞ!」
「だからそういう事言うなって……」
シェダルは未だ顔が熱い俺をからかう。
全くシェダルは……嫌じゃないけどさ。
「さ、よく寝てスッキリしたところで、探索を続けるとするか!」
「お、おう!」
「さぁほら!」
「引っ張るなっての!」
俺たちは、新たな場所を求め、神殿の外へと出た。
◇
「もうここまでは余裕だな! 昇!」
「おう!」
安息の地から出た後、再び進み始め、今はもう第9階層の入り口のすぐ近くだ。
ここまでのステータスも確認しておこう。
「ステータスオープン!」
俺は携帯のステータスアプリを呼び出した。
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金剛 昇
NOBORU KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 73
在籍 県立祇園高等学校
所属 冒険者ギルド
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さっきよりも3レベル上がったのか。
……まぁ、こんなもんだろう。
ここからは第9階層、これまでよりも強めのモンスターが出るだろう。
「用意はいいか?」
「もちろん!」
「よし!」
シェダルと俺は、気合を入れるために、お互いの拳を合わせ、その後、もう片方の手をハイタッチの要領で合わせた。




