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第百四十一話 俺の告白! 私は待つ!

「しかし、だ……」


 シェダルはそう言って、腕の力を緩め、こちらに顔を合わせる。

 俺はシェダルと目が合わせられず、逸らしまくった。


「お前が将来的に、私を守ることができるような、一人前の男になったら……考えてやってもいいぞ?」

「え……?」


 これは……どういうことだ?

 将来的? 考えてやってもいい?


「それって……どういう事?」

「……さぁ? どうだろうなぁ?」

「おい! ちゃんと答え……ろ?」


 シェダルは再び、俺を強く抱き締めた。


「緊張してるのは……お前だけじゃないぞ?」

「え……?」

「お前も私を抱きしめてみろ……変なところは触るなよ?」

「さ、触らねぇよ……じゃあ失礼して……」


 俺はシェダルを抱きしめ返してみた。

 ……俺ほどではなかったが、シェダルの体はかなり熱く、風邪をひいているようだった。

 心臓の鼓動も、以前聞いた鼓動よりも早く感じた。


「どうだ?」

「……シェダル」


 お互いの腕を緩め、顔を合わせた。


「シェダル、俺やるよ! 一人前になって、お前を守ってみせる! だからそれまで……待ってくれないか!?」


 俺はシェダルの手を握って言った。

  シェダルは……笑い出した。


「ふふふ……あははは!」

「わ、笑うなよ!」

「いや……顔真っ赤でそんなこと言われても威勢が無いというかなんというか……ははは!」

「……」


 俺は恥ずかしくなって顔を下に向けた。

 なんだよ……人が頑張って告白したのに。


「まぁでも……」

「!?」


 シェダルは再び俺を抱きしめた。

 顔は会わせたまま、俺に語り掛ける。


「お前の気持ち、受け取ったぞ」

「お、おう……」

「これは一人前になるまでの前祝だ」

「前祝? ……って」


 そう言うと、急に俺の口が塞がれた。

 冷静になって前を見ると、シェダルの顔が過去一番に近づいていた。

 こ、これは……。


「んん!?」


 俺は耐えるのに必死だった、色々なものを。

 シェダルの鼻息が俺の顔にかかり、口には柔らかい感触を感じる。

 しばらくそうした後、シェダルは俺から離れた。


「ははは! お前今すぐにでも消えてしまいたいって顔してるぞ!」

「はぁ……はぁ……お前……急にそういうのやめろよ……マジで……死ぬ……」

「まぁ、その気持ち、せいぜい最後まで持つことだな!」

「も、持つに決まってるだろ! 俺はお前を絶対に守ってやるから……ってマジで恥ずかしい!」

「ははは! お前は本当に面白い奴だ」


 シェダルは何事もなかったかのように笑い出した。

 なんだよもう……。


「マッサージの痛みは消えたか?」

「あ、あぁ……」

「じゃ、少し寝たら再び出発するか!」


 シェダルは再び俺に抱き着いてくる。

 そして頭を撫で始めた。


「だから……」

「お前はまだ子どもだ、このくらいいいだろう」

「わ、わかったよ……」


 子ども扱いするなと言いたかったが、こいつにとっては、まだ俺は子どもだった。


「それじゃ、おやすみ」

「お、おう……」

「なぁ……この間は私が悪夢からお前を守ったが……今度は私を悪夢から守ってくれないか?」

「は、はぁ?」


 シェダルが耳元でそう囁き、俺は困惑の声を上げた。

 た、確かにこの間は……守ってくれた……と思うが。


「頼んだぞ……」

「お、おい……」


 シェダルはそう言って、寝息を立て始めた。

 ま、まぁ、これがシェダルを守る最初の任務だ! やってやるさ!

 俺はシェダルを抱きしめて、眠りにつくことにした。

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