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第百四十話 鼓動が早い! 動けない!

「ほらほら、抱き締めてやる」

「いいって!」

「遠慮するな、ほーら」


 シェダルは手を広げて、こちらに近づいてくる。

 マッサージの痛みで動けなくなった俺は、されるがまま、抱き着かれた。

 嫌じゃない……むしろ嬉しいけどさぁ……。

 痛みでどうすることもできないが、もし、そうじゃなかったら……。

 ダメだ! ダメだ! 俺は一体何を考えているんだ!

落ち着け……落ち着け……。


「なんだ? 心臓の鼓動がものすごく早いぞ? それもいつもよりもな」

「う、うるせぇ……」

「覇気もないな! どうした?」

「どうもしねぇよ……」

「ほう?」


 シェダルは腕の力を強くした。

 今力を入れたら……。


「痛いって! さっきのマッサージでめちゃくちゃ……」

「……お前、やはり私に気があるな?」

「……え?」


 シェダル……一体何を言って……。


「さっき運んでた時も、私に目を合わせなかったし、腕から伝わる鼓動がこちらにも届いていたぞ?」

「……」


 やはりバレていたか……。

 最初に抱き着かれた時は、からかっているように俺の顔が赤いだの言ってたけど、今はとても真剣な口調で俺に語り掛けている。


「はは、まさか分からないとでも思ったか?」

「その……」

「お前は最初に出会った時から私に気が合った、一目惚れというやつだ、違うか?」

「……」


 ……確かに、シェダルの美しい姿に、拍子抜けする台詞、どれも気が惹かれた。

 もしかしたら、今までのからかいも、全てそういう事だったってことか?


「そんで大方、一緒に過ごしているうちにますます好きになっていった……というやつか?」

「……」


 どれも正解だ、俺は一緒に過ごしているうちに、シェダルがどんどん好きになっていった。

 彼女設定をシェダルが考案した時も、俺は嬉しい気持ちがあった。


「どうなんだ? 昇」

「……違わない」

「違わない? 図星ではないのか?」


 シェダルには、こっちの気持ちは筒抜けだった。


「……あぁ! そうだよ! 俺はお前の事……めちゃくちゃ好きだよ! 今だって、恥ずかしくて死にそうなんだよ!」

「そうかそうか……よく言えたな」


 シェダルは俺の頭を撫で始めた。


「だから子ども扱いすんなよ!」

「嬉しいんだろう?」

「……嬉しい」


 俺は今、体温が今までの人生で一番上がっていて、脈拍も過去一番に高鳴っている。

 マッサージの痛みが無かったら、今頃何しでかすか分からない程だ。


「お前の気持ち、私も嬉しいぞ」

「……ありがとう」


 シェダルは笑顔で頭を撫で続ける。

 俺の気持ちを理解してくれてはいるようだ……が。


「……だがな、残念ながら私はお前のような子どもには興味はない、すまないな」

「あぁ……」


 やはりそうだった、シェダルは俺の事は、そういう目線で見るわけがない。

 俺はガッカリした気持ちもあったが、当然という気持ちもあった。

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