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第百三十七話 自信なし! 愛の鞭!

「よし! 解体して、先へ行こう!」

「あ、あぁ……」


 このまま行けば、10階層なんて……。


「……お前、見るからに疲れ果ててるぞ。」

「そ、そう……?」

「……解体は私がやっておくから、その辺で休んでろ! ほら、水だ。」


 シェダルはまたもコートから水を取り出した。

 これは……。


「……また睡眠薬?」

「入れてない! あの時は悪かったよ」

「本当かぁ?」

「信じろ! 今試練をやっても何にもならないだろう!」

「……それもそうか、ありがとう」


 俺はシェダルのご厚意を受け取った。

 ペットボトルのキャップを開け、思いっきり飲む。

 飲み干す勢いで飲み、キャップを占めた時には、すでに半分になっていた。


「ぷはー、水がすげぇ美味く感じるわ。」


 俺はダンジョンの壁に座り込んだ。

 シェダルはナイフを片手に、収納スキルのリュックにヴァンバットの部位を入れていった。

 ……やっぱりシェダルは逞しいな。

 俺なんかよりもずっとタフだ、150年も生きてきた所以だろうか?

 あんなにか細い体なのに……そういえば抱き着かれた時、意外に筋肉がついていたな。

 風呂に一緒に入った時はそんな風には見えなかったけど、隠れマッチョなのだろうか?

 でも抱き着かれた時、筋肉があるのは分かったけど、そこまで体が硬いとは感じなかった。

 ……なぜだろうか? よく分からない。

 とにかくシェダルは逞しくて……美しくて……俺なんかよりも賢くて……でもなんか抜けているところがあって……。

 ……俺、何考えているんだろう? 疲れからか、さっきからシェダルに対していやらしい感情を抱いているのだろうか?

 全く……こう見ると、俺ってやっぱり頼りないな。

 俺がへばっている間にもシェダルは黙々と作業を進めている。

 ……こうしちゃいられない、女の子1人で作業を差せるなんて男が廃る。

 俺は気合を入れて立ち上がった……。


「おーい昇! 全て回収したぞ!」

「……。」


 時は既に遅かった……。

 俺は再び座り込んだ。


「おい、どうした昇?」

「……ごめん」

「何を謝っている?」

「……俺また自信失くしちゃったみたいだ、やっぱりすげぇよシェダルは」

「……」


 シェダルはそう言うと、俺の顔にビンタをした。


「いつまでもそんな風にするんじゃない!」

「シェ、シェダル?」


 シェダルはビンタをした後、俺の体を思いっきり抱き着いた。


「お、おい……」

「私だって最初は全然ダメだった、自信を無くして死にたいと思ったこともある!」

「……」


 死にたい……俺が中学の時に抱いた感情と同じだ。


「前にも何度か言ったが、お前は十分凄い! だから……自信が無いとか言うんじゃない!」

「……あぁ」


 シェダルは腕の力を緩め、俺と顔を合わせた。


「……すまない、つい感情が高ぶってお前を殴ってしまった」

「あ、いや……俺も、ごめん」

「だからなぜお前が謝る?」

「……」


 シェダルはいつもよりも真剣な表情をしていた。

 まるで母親のように俺の事を叱った。

 ……俺の実の母親よりも、俺の事を真剣に見ているような気がした。


「……まぁ、もしも弱音を吐きたくなったら、私がすべてを受け止めてやる」

「いや、そんな……」

「前にも言ったかもしれないが、お前は私の子どもみたいなものだ、腕輪を受け取った時点でな」

「……」


 子ども……か、シェダルから見た俺は、そんな感じなのか……。

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