第百三十三話 ダンジョンを進む、伸びないレベル
「おりゃああああああ!」
『剣スキル! 切り裂きすぎフィニッシュ!』
俺の持つ剣が光を放ち、そのまま巨大なゴブリンの集団を一刀両断した。
ゴブリンたちから緋色の噴水が出来上がり、俺の黄金の鎧を汚した。
「見事! 素晴らしいぞ! 昇!」
横で見守っていたシェダルが、俺に称賛の声を送った。
「あ、ありがとう……」
やはりシェダルに褒められると、なんか嬉しい。
俺の父や母はあまり……というか、ほとんど褒めたことが無かったので、こういう両親がいたらなぁ……というのをたまに考える、叔父さんは良く褒めてくれるけれども。
でもなんか、シェダルは俺を暖かく包み込むような……俺をまるで自分の子どもみたいに接しているというか……って、俺は何を考えているんだ!
「さ、臭くなる前に解体するぞ!」
「お、おう!」
俺たちは収納スキルの鍵をケースから取り出した。
「「スキルチェンジ!」」
鍵を刺し、そして回し、スキルを解放した。
『スキル解放! 納めたすぎる! 収納スキル!』
俺たちは収納スキルの姿になり、ゴブリンの解体を始める。
……だいぶ慣れてきたように思えるが、やはり解体するのは辛いというか、気分が悪くなる。
だが、これも俺たちが生きていくためだ、その命は決して無駄にはしない、素材は大事に使うよ。
……そういえば、あの牛さん、無事かな、既に狩られたとしても、良い素材として何かの役に立っていればいいのだが……。
そんな事を考えていると、既に3分の2の回収は終わっていた。
考え事をしていると、物事は早く終わるもんだな。
「さて、大方終わったな!」
「お、おう!」
「もうすぐ第9階層に差し掛かるぞ!」
「もう!?」
夢中でモンスターを倒しながら進んでいたので、あまりの早さに驚愕してしまった。
もしかしてレベルも上がってたりする?
「ステータスオープン!」
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金剛 昇
NOBORU KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル 70
在籍 県立祇園高等学校
所属 冒険者ギルド
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……あれ?
「倒した数の割にあんま上がってない気がするな」
「そらもう、この辺の敵は相手にならないってことだろ」
「そ、そう? それは喜んでいいのか?」
「まぁ、喜んでいいだろう!」
……だが、レベルが伸びにくくなるとちょっと困るな。
もっと奥に行けばもっと強い奴がいて、その分レベルが上がりやすくなるとは思うが……下手すりゃ死ぬかもしれないな。
「よし! この調子でどんどん行くぞ!」
「お、おう!」