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第百三十話 忘れ物、届けよう

「本当に、そこまでして、何がしたいんだろう……」


 そんな事を考えていると、携帯の着信音が鳴る。

画面を見ると……。


「叔父さんだ」


 俺はすかさず電話に出た。


「もしもし?」

『あ、昇くん!? 叔父さん、仕事道具の一部を忘れちゃって……申し訳ないけど持ってきてくれないかい?』

「し、仕事道具!? 大変じゃん! どういうの?」

『あぁ、えーっとね……』

「……うん! わかった!」


 俺は電話を切った。


「なんだ? 卓郎さんに何かあったのか?」

「仕事道具忘れたみたい、今から持って行かなきゃ……」


 早く行かないと、お客さんに迷惑をかけてしまう……。


「お前、今携帯使ったよな?」

「はぁ? そりゃ使ったけど」

「……」


 シェダルは何かを考えだした。

携帯がどうかしたのか?


「……まぁいい、急ごう、転移スキルで行くぞ!」

「お、おう!」


 俺は下に降り、叔父さんが忘れた仕事道具を取りに行った。


「酔い止め薬飲んどけよ!」

「わかってるよ!」



「よし! 持ったな!」

「おう!」


 俺は道具を収納スキルの中に入れた。

 そして酔い止め薬も飲んだ、準備は万全だ。


「よし! ホール展開! 住所はイメージしたな?」

「あぁ!」

「よし! 掴まれ!」


 俺はシェダルに引っ張られ、転移ホールに入った。



「いやぁ、助かったよ! これが無かったら叔父さん、お客さんに怒鳴られるところだったよ」

「気を付けてよ! これで店の評判が下がったらこっちの家計が一気にやばくなる」

「あははは……そうだね」


 転移スキルで依頼主の所の前まで行き、俺は忘れ物を叔父さんに渡した。


「それじゃ! 帰り道気を付けるんだよ!」

「叔父さんも仕事頑張って!」


 叔父さんはそう言うと、足早に依頼主のいるビルに入っていった。


「ふぅ……」

「忘れ物は届けたか?」

「あぁ」


 シェダルはビルの前の広場にあるベンチで待っていた。


「全く、叔父さんはたまにこういうことするんだよね」

「まぁまぁ、忘れ物ぐらい誰だってするだろう」

「そうだけどさ……」


 両親に、忘れ物をしないように厳しくしつけられていた時の事を思い出した。

 学校で忘れ物をしたというと、父さんが怒鳴り散らしていたので、鮮明に覚えている。

 忘れ物を頻繁にしてしまう人は外を出た時点で「何か忘れ物をしている」と開き直ることが多いらしい……それってどうなんだろう? まぁそう考えると逆に意識が良くなって、忘れ物をしなくなるとは思うのだが……。

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