第百二十七話 朝のニュース、部屋に入室
『総理! モンスター人間はもはや日本全体の問題です! これは総理の責任でもあるのではないでしょうか!?』
『確かに、モンスター人間の事件は、由々しき事態です、我々も最善を尽くしています』
朝のテレビのニュースは、選挙前なのか、国会関連ばかりだった。
「全く、どのチャンネルもこれ関連ばかりではないか!」
「仕方ないでしょ……」
シェダルもこのラインナップに飽き飽きしている様子だった。
そういえばウトピアって共和制国家でも立憲君主制でもないから、こういうのって新鮮なのかな?
「いやぁ難しい話ばっかりで困っちゃうよね~」
叔父さんは呑気に朝飯を食べている。
難しい話ねぇ……。
そんな事を考えていると、ニュースの内容が変わる。
『総司大通りの商店が襲われた事件で、警察はフリーター兼スキル社会肯定運動の活動家『小幌四郎』容疑者を昨日未明、現行犯逮捕しました、警察の調べに対し小幌容疑者は、「暴れたのは間違いないが、腕輪については覚えていない」と、容疑を一部否認している模様です、前の2つの事件では、スキル社会反対運動の活動家が使用していたこともあり、警察は……』
腕輪については覚えていない……か。
「あ、叔父さんそろそろ仕事だから、じゃ~ね~、2人は熱い時間を過ごしてね!」
叔父さんはそう言って仕事へ行った。
こんな暗いニュースばかりの空間で、どういう風に熱い時間を過ごせというのだろうか?
「あ、そうそう! シェダルちゃん宛てに封筒来てたよ! じゃあ今度こそ行ってくるから!」
そう言うと叔父さんは封筒をシェダルに渡し、再び外へ出た。
「シェダル、もしかして……」
「差出人は冒険者ギルド、アレだな」
シェダルは封筒を開け、中身を取り出す。
「これが……ヒューモンスターの……」
「禍々しいな……」
ビニールに入った腕輪と携帯、そして……。
「手紙が入ってる」
俺は手紙を取り出し、読んでみた。
『我が同志、昇とシェダルへ! 証拠品を送るから、気が済むまで調べてくれよ! あ、指紋は付けないようにな! もしも謎が解けたら報告してくれよな! じゃ、またな! お前らの同志、剣より』
剣さんからだった。
文章からも熱さを感じる。
「よし、早速調べよう、昇、私の部屋へ行くぞ」
「えぇ!? お前の部屋!?」
「それ以外調べられる場所が無いだろう!」
何気に初めて入るわ、なんか緊張する。
というかなんでこいつは俺の部屋にホイホイと入ってくるんだ!? デリカシーとか考えたことあるのかこいつ!?
「いいからさっさと飯食って行くぞ!」
「あ、あぁ……」
やっべぇ……大丈夫かな。