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第百二十六話 病院デート、心配性

「いやぁ、あいつら元気そうで良かったな! 昇!」

「あぁ……」


 病院を出た俺たちは、そのまま帰路へ着いた。


「しかし謎だ、一体腕輪と携帯を配布している奴らの目的はなんだ?」

「私にも見当がつかん、変に混乱させているだけのようにも見える」

「混乱ねぇ……」


 まさか、それ自体が配布している奴らの目的とか?

……いや、考えすぎか?

 こういうのって、「風が吹けば桶屋が儲かる」って言うんだっけ? 違うかな?

 そんな事を考えていると、携帯が鳴った。

画面を見ると、叔父さんからだった。


「卓郎さんか?」

「あぁ」


 多分ヒューモンスター事件の報道でも見て、心配したんだろう。


「もしもし? 叔父さ……」

『昇くん! 今どこにいるの!? まだ診療所かい!?』


 そういえば叔父さんには、診療所に行くとしか言ってなかった。


「あ、ごめん、シェダルと診療所に行ったんだけど、飯食って帰る途中で避難指示が出ちゃって……」


 間違いではない、うん。


『そうかい? 叔父さん凄い心配したんだよ! シェダルちゃんも無事かい?』

「あぁ、シェダルも無事だよ」

「卓郎さん、心配かけてごめんなさい!」


 シェダルが俺の耳元で叫ぶ。

せめて携帯取って言えよ! 耳鳴りがするわ!」


『良かった~、2人が無事で! 夕飯作って待ってるからね! 気を付けて帰るんだよ!』

「う、うん!」


 電話が切れた。

……全く、叔父さんの心配性にはついていけない、嬉しいけど。


「さ、卓郎さんを心配させるわけにはいかないし、急ぐぞ!」

「お、おい! 引っ張るなって!」


 俺たちは鍵屋に向かって走った。



「ヒース! お使い終わったよー!」

「あぁ、ありがとう、カルデナ」

「えへへ~。」


 報告したカルデナを褒め称え、ヒースはカルデナの頭を撫でた。


「ねぇねぇ、腕輪と携帯を渡した人、幸せになってくれたかな?」

「きっとなったさ、何せ、望みをかなえる物だからね」

「だよね! ヒースはいつも皆を幸せにしてくれるし、あの人たちもきっとそうなってるよね!」

「もちろんだ、それも、カルデナのおかげさ」

「えへへ~また褒められた」


 ヒースは再び、カルデナの頭を撫でた。


「ねぇねぇ、お使いある?」

「今はないかな」

「えぇ~」

「私は今、人々の平和を守るための物を開発しているんだ」

「えぇ!? それって凄いね!」

「あぁ……その通りさ!」


 ヒースは高笑いをし始め、それを見たカルデナは、それを真似て笑った。



「いやぁ! おかえり! 昇くんにシェダルちゃん!」


 鍵屋に戻ると、叔父さんがいつものエプロン姿で出迎えてくれた。


「ただいま、叔父さん」

「卓郎さん、ただいま」

「いやぁ、病院までデートなんて変わってるねぇ。」


 確かに変わってる、まぁ俺が怖がってるのをシェダルが見かねてついていっただけなんだけど……。


「それで? 病気とかじゃなかったの?」

「あぁ……ただ乗り物酔いがこの歳になっても続いているだけだってさ」

「そうかい! 良かったぁ~叔父さん心配してたんだよ! 万が一変な病気だったらどうしようって!」


 俺もそう思ったよ。

 全く、翔琉の奴、俺のことからかってあんなこと言ったんじゃないだろうな?

行って損はなかったが……。


「ま、今日は昇くんが何ともなかった記念ということで! 今日はまたチンジャオロースだよ!」

「良かったな! 昇! またお前の好物だぞ!」

「この間もやったでしょ!? 叔父さん!」

「いいじゃんいいじゃん! さ、シェダルちゃんも食べよ!」

「はい!」

「あ、その前に手を洗ってね!」


 俺たちは洗面台へ行き、その足で食卓へ向かった。

すると、携帯の通知音が鳴った。


『@金剛 昇 そういえばお前、乗り物酔いのやつ大丈夫か?』


 翔琉だった。

 ……なんやかんや心配してくれてたんだな、さっきからかってるとか言ってごめん。


『@小松 翔琉 ただの乗り物酔いだよ!』


 ……全く、あいつの仲間思いはどこから来るんやら


「おい昇! 早く来い!」

「お、おう!」

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