第百二十一話 狙いは商店、キモいゴブリン
バイクこと俺は、総司大通りを爆走していた。
後ろに翔琉たちがいるようだが、俺の目線からは見えない。
大通りの半分に差し掛かろうとしたその時、一つの商店にゴブリンが押しかけていくのが見えた。
『シェダル!』
「あぁ、狙いはあの商店のようだな」
しかし、なんであんな商店なんか襲う必要があるんだ?
過去二つの事件は、国会議事堂だったり学校だったり……なんかスケールダウンしてる気がする。
『なぁ、変じゃないか? なんであんな商店を……』
「なんにせよ、襲われているならほっとくわけにはいかん」
『そうだけど……』
すると、翔琉と悠里の乗ったバギーが先導する。
「昇くん! シェダルちゃん! ウチらが中に人がいないか確認するよ!」
『おう! 任せた!』
どうやら2人がまず中を確認するらしい。
前2つの事件から考えるに、商店の中の何かを狙っているのだろうか?
2人の乗るバギーが商店の前で停車し、何かを見つけたのか、悠里は矢を放った。
翔琉が下車し、ゴブリンを一掃しながら中に入っていった。
シェダルが俺にブレーキを掛け、店の前に停車する。
「みんな! 一般人がいる! 俺が外まで送る! ここは任せた!」
「わかった!」
「さ、こっちへ!」
翔琉が中から男性を連れ出した。
悠里がバギーから降り、商店から距離を置き、一体ずつ射抜いていった。
空席となった助手席に、男性を乗せ、翔琉は大通りの入口へ引き返した。
薫は悠里と同じ位置に立ち、遠距離攻撃を開始し、愁は2人の援護を受けつつ、接近戦でゴブリン集団の処理を始めた。
「さて、お前も戦闘準備だ!」
『お、おう!』
シェダルがバイクから降りたことが感触で伝わり、そして背中が押される感触がする。
俺は立ち上がり、首が自由に動ける状態になった。
「えぇ!? なにそれ!?」
「お前……立てるのか!?」
「……凄い」
『いや、この状態だと歩きづらいし、事実上ただの案山子状態なんだよ……。』
「ただの案山子ではないだろう! 武器は使える!」
『そうだけど……』
くだらない会話をしていると、商店から『親玉』が現れた。
「うおぉ!? なんだこいつ!?」
近くにいた愁は後ずさりをして、距離を取った。
「来たぞ! あいつがこの小童どもを率いているヒューモンスターだ!」
「いや! キモい!」
「キモくて……当然……」
『見た目的に……ゴブリンヒューモンスターか?』
「だな」
見た目は……悠里の言う通り、キモい。
なんかゴブリンを歪ませたみたいな感じだ。