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第百十六話 酔い止め薬、貰う換金

「お大事に」

「ありがとうございました……」


 処方箋の酔い止め薬を貰って、薬局を後にした。


「結局、『何の病気でも無かった』な! ははは!」


 シェダルが俺の肩を叩いて言った。


「良いと言えば良いけど……『君ぐらいの歳で乗り物酔いを頻繁にするなんて珍しいね』なんてお医者さんに言われちゃったよ」

「ははは! まぁでも私は安心したぞ! 何でもなくてよかったじゃないか!」


 病院行く前に、恐る恐るネットで調べたら「大人で乗り物酔いは病気の疑いあり!?」みたいな記事を発見してしまって、外に出るのが怖くなって、シェダルが背中を押してくれた。

「病気でもいいじゃないか! 治せるなら行った方がいい」とか何とか言って。


「さ、今日は卓郎さんが仕事でいないし、飯でも食いに行こう! ちょうど換金した金も振り込まれたし、あぁそういえばお前の取り分だ、ほら」

「あ、ありがとう……って、こんなにいらねぇよ」

「お前が換金したやつ寄越せって言ったんだろう!」


 シャダルは町中で現金を大胆に出してきた。

 1万円が数枚くらい見えた……が、想像以上の取り分で、躊躇してしまった。

いや、昨日確かに換金したやつ寄越せとか言ったけど、高くて1万円とか考えてたし……


「いいじゃないか、多少高めなお小遣い手に入ったと思えば……」

「いやいや、さすがにこんなには受け取れねぇよ、1万円だけでいいから、シェダルのほうが圧倒的に大人だから有効に使えるだろ? 俺はほら、無駄なことに使いそうだし」


 高校に入ってから、叔父さんから数千円くらい小遣いを貰っているが、あまり使ってない。

なんか……使うの勿体ないというか……。


「そうか? じゃ、一万円な!」

「お、おう……」


 俺の掌に一万円が渡った。

……これはモンスターを始めて討伐した勲章みたいなもんだし、有効的に使おう。


「んじゃ、この残りの金で何か食べに行こう、何がいい? 高級フレンチでも帝国ホテルでもいいぞ?」

「いやいや、ここは普通にハンバーガー屋とかラーメン屋とか……」

「ラーメン屋か! いいな! それにしよう! この辺で美味い店知ってるか?」

「すまん、俺外食あんましないからよくわからん……」


 これは叔父さんの飯が美味いってのもある。

 叔父さん、自分で「昔はレストランを渡り歩いたくらいなんだよ」と言っていた。

その言葉は恐らく嘘ではないだろう。


「よし、じゃあネットで調べよう」

「お前、インターネットで換金したり、5年も寝てた割にハイテクなものに慣れすぎだろ……。」

「こういうのにはすぐに慣れないと置いていかれるからな!」

「それもウトピアで学んだの?」

「そうだ!」


 これも、150年の時の中で学んだことなのか? なら納得だ。

俺も、時代に置いていかれないようにしよう。


「おぉ! この辺に美味い老舗のラーメン屋があるみたいだ! 行こう!」

「お、おい……引っ張るなよ!」


 シェダルはお腹が空いているのか、俺の腕を無理矢理引っ張った。


「さぁ腹が減った! 飯だ飯だ!」

「おい、引っ張るなって!」

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