表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/408

第百十二話 声紋認証、みんなの詠唱

「いやぁ! キモい! こっち来ないで!」

「……くっ!」


 ゴブリンが集団で襲い掛かってきた。

 悠里が薫を守りつつ、弓で斬撃を繰り返していた、だがやはりというべきか、致命傷は与えられていないようだった。

 こいつはまずいぞ! ここは俺も……。


「おーい! みんな! 携帯をいったん外して『スキル必殺』と唱えろ!」


 シェダルが4人に向かって叫んだ。

 翔琉はそれを聞くと、ゴブリンを振り払い、携帯を外し、顔に近づけた。


「スキル必殺!」

『声紋認証!』


 携帯から音声が鳴り、またもノリノリの音楽が流れる。


「翔琉! そのままもう一度携帯に嵌めろ!」

「おう!」


 ゴブリンの攻撃を避けつつ、携帯を嵌めた。


『レッドセイヴァー! ファイヤーフィニッシュ!』


 携帯から音声が鳴り、翔琉の持っている剣から炎が上がる。


「そのまま切り裂け!」

「おう! おりゃあああああ!」


 翔琉が剣を振り回すと、半径5m範囲にいたゴブリンが一瞬のうちに切り裂かれ、切り口から炎が立ち……絶命した。

 ゴブリンの血液と炎の赤い色が、翔琉の周りを染めていた。


「じゃあ俺も! スキル必殺!」

『声紋認証!』


 愁もまた、辺りにいたゴブリンを振り払って携帯を外し、呪文を唱える。

 同様に、ノリノリの待機音が鳴る。

 愁は襲い掛かるゴブリンを吹っ飛ばしつつ、携帯を再び嵌めた。


『ブルーハンマー! ロッキンフィニッシュ!』


 愁の持つ鎚に青い閃光が走る。


「おりゃあああああ!」


 愁はその状態で、地面を叩く。

 すると、ゴブリンの下から、鋭い岩が現れ、突き刺していく。


「うおおおおお!?」


 愁は自分の力に驚愕したのか、動揺の声を上げたようだった。

 岩肌に愁の姿が隠れてしまったが、愁の周りのゴブリンは、次々と絶命していくように見えた。

 女子2人に再び目をやると、2人は翔琉と愁に感化されたのか、ゴブリンを吹っ飛ばした。


「ウチらも負けてらんないよ! 薫ちゃん!」

「……うん!」


 2人は携帯を外し、呪文を唱えた。


「スキル必殺!」

「スキル……必殺!」

『『声紋認証!』』


 携帯から待機音が鳴り、2人はすぐさま、各々の武器に嵌めた。


『グリーンアーチャー! サイクロンフィニッシュ!』

『ヴァイオレットマジシャン! エレメントフィニッシュ!』


 2人の持つ武器にそれぞれ、緑と紫の閃光が溜まっていく。

 そこから、悠里の弓からは巨大な緑の矢、薫の杖からは紫のレーザービームが放たれ、直線上にいたゴブリンたちは、それらに貫かれ、絶命した。


「うわぁ……やっぱキモい……」


 悠里は自分のやったことを後悔しているように見えた。

 恐らくあの仮面の下は、青く染まっていることだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ