第十一話 凄すぎる! 鍵スキル!
祭壇の中には、腕時計とは違う、鍵穴のようなものがついた金の配色の腕輪と、腕輪と同じ色の鍵が中に入っていた。
興味本位で祭壇の扉を開け、俺はその二つを手に取った。
この腕輪は……こう嵌めるのだろうか?
無意識に腕輪に魅入られた俺は、手首にそれを嵌めてしまった。
我に返ると、腕に着けた腕輪を見つめ、鍵を握りしめていた。
いけない、何であれこれは人の物だ。
外して祭壇へ戻そうとしたその時だった。
『力が欲しいかい?』
突然聖堂に謎の声が響いた。
「誰だ!?」
『君は鍵スキルだという理由で無能扱いされているのだろう?』
「だから何だってんだ! 出てこい!」
『そんな君にサプライズプレゼントさ! その腕輪を君に託そう……使い方はいずれわかる筈さ』
「お前は一体……」
『それでは健闘を祈るぞ!』
「健闘を祈る? おい! それってどういう意味だ!」
真上に向かって主張するも、声が響くだけで、声の主は消えてしまったようだ。
腕輪を託す……? 言葉の意味を咀嚼していたその時、突然聖堂の天井のステンドグラスが割れ、2体の怪物が下りてきた。
2体ともにゴブリンのように見えたが、第一階層にいた奴らとは体格も大きさも違う。
怪物達は俺を見つめるや否や、問答無用で襲い掛かってきた。
状況が呑み込めない……俺は死に物狂いで出口へ走った。
◇
聖堂の扉を開け、俺は広間の物陰に身を潜めた。
このまま外に出たら間違いなく殺される……一体どうすればいい?
そんな時、無意識に嵌めた腕輪と、手汗まみれの右手に握っていた鍵を見つめた。
『使い方はいずれわかる筈さ』
使い方……いずれわかる?
鍵穴……もしかしたらこの鍵は?
腕輪に鍵を嵌めたその時だった
『鍵スキル!!』
「うぉ!? なんだ!?」
馬鹿デカい音声が広間に響き、思わず声が出てしまった。
それと同時にロック調の音楽が腕輪から流れる。
それにゴブリンが気付かないわけもなく、俺が隠れている像の陰へ歩き始めた。
あぁもう! どうにかなりやがれ!
頭の中が真っ白になった俺は、物陰から外に出て、鍵を回した。
『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』