第百五話 アップルパイ、めっちゃ美味い!
「はいどーぞ、アップルパイだよ!」
「あ、お構いなく……」
居間に到着すると、叔父さんが、特製のアップルパイを皆に振舞った。
小松は遠慮しているようだった。
「遠慮しなくていいんだよ! 叔父さんのアップルパイ、昇くん大好きだから、きっと気に入るよ!」
「ちょ、ちょっと叔父さん……」
「そうですか、では……いただきます」
確かに叔父さんのアップルパイは美味いが、ここでそれを言わないでくれ! 恥ずかしいから!
小松はそれを華麗にスルーしてくれた……ありがたい。
「いやぁ、昇くんがお友達連れてくるなんて初めてだねぇ! ゆっくり楽しんで! じゃ、叔父さん仕事に行ってくるから! じゃあね~」
叔父さんはエプロンを外して、仕事に向かった。
「……で、そのヒューモンスターとやらの陰謀を、何でこいつらと一緒に探るんだよ?」
叔父さんが去った後、早速俺は質問をした。
するとシェダルは、紅茶の用意をしながらこう言った。
「私とお前だけじゃ、到底不可能だからだ。近いうちに、あのオークとスライム以上の奴らが出てくるかもしれない、そうなると、私とお前が持っている腕輪の力だけじゃどうしようもないからな」
「……」
その言葉には結構説得力があった。
実際、戦闘面では、調整不足の鍵が結構あったし、その上で俺はシェダルの指示待ち人間みたいな感じだし、さっきだってシェダルを溶かしかねない行動取ったし、確かに新たな戦力は必要だ。
警察や冒険者、自衛隊が来る間に犠牲者が出る可能性だってある。
俺がそんな事を考えていると、シェダルは6人分の紅茶を出した。
「さぁ、召し上がれ」
「わ~なんかいい香り!」
羽田は、俺たちの会話を聞いていなかったのか、まるで同性の友達とおしゃれなカフェにやってきたような口ぶりでそう言った。
「ん~美味い! アップルパイとめっちゃ合う! ってあっつ!」
「こら! ゆっくり飲まないか!」
三沢は出されたお茶を1秒も待たずに飲んだ……喉乾いていたのか?
「それで、その話だけど、なんで俺たち?」
小松は羽田と違って、俺たちの会話を真剣に聞いていたようだ。
確かに俺もそう思う、俺よりかは自分で行動する能力が遥かにあるというのは分かるのだが。
「知りたいか? その理由は……」
「その……理由は?」
「……」
シェダルの謎の溜が始まった、小松は気になっているようだが、どうせくだらないことだ。
俺は紅茶を啜りながらそれを聞いていた。
「お前らが……いいチームワークを発揮していたからだ」
「……え?」
なんと、まともな答えだった。
そしてそれは、かなり的を得ていた。
「先ほどのデビルスパイダーの戦闘もそうだったが、仲間と協力して巨大な敵に立ち向かう姿は圧巻だった! お前らならきっと対抗できると考えたんだ」
「そうか?」
「なんか照れるな」
「ウチら褒められた?」
「……」
俺が来るまでの事は分からないが、確かに倒れるほどよくやったというのは凄い……ちょっと偉そうだな、俺。
まぁでも、授業の時とか、メガルホーネットの時なんかも、こいつらはいいチームワークを見せていた、それは事実だ。




