閑話 蜘蛛との戦い
一方その頃、小松たちは、デビルスパイダーとの戦闘を始めていた。
戦いを始める前、岩国は皆に忠告していた。
『デビルスパイダーは……体が柔らかい代わりに糸が硬い! ……捕まえた獲物はお腹の下に抱えてる……!』
その忠告を聞き、シェダルが捕らわれていることを想定し、岩国は魔法での攻撃を自重し、小松と三沢はデビルスパイダーの脚を中心的に攻撃をした。
そして羽田は……。
「ひぃぃぃ……また目が潰れたぁ……」
デビルスパイダーの目を重点的に狙った。
目は8つほどあり、羽田はそのうち、三つの眼球を潰すことに成功した。
とは言ってもそれは彼女だけの実力ではなく……
「岩国さん! 補助ありがとう! ……でもやっぱこいつキモい!」
「……我が儘言わないで!」
「ひぃぃ……ごめんなさい!」
「……」
岩国は心の中で、「強く言ってしまった……嫌われたのだろうか?」と一瞬考えた、だが今はそんなことを考えている時間はないと思い、援護を続けた。
「我が岩国薫の名において……この矢を目的の位置に当てよ! ……ウェポンコントロール!」
「よし! 飛ばすよ!」
目を当てる、というのは羽田のアイデアだった。
羽田は飛んでくる蜘蛛の糸の攻撃を見て、咄嗟に「あいつの目を潰せば狙ってこれないんじゃね?」と言い、岩国がそれに賛同した結果、このようなことになった。
羽田は言い出しっぺではあるものの、この言葉を発した自分を後悔した。
「当たった! でもキモい!」
遠距離では、このような流れが続いていた。
では近距離ではどうなっていたのかというと。
「翔琉! 俺の鎚に乗れ!」
「どうすんだよ!?」
「お前を頭のほうまで飛ばす! 頭を狙えばこいつも怯むだろ!」
「そう簡単に行くか!? 悠里たちが目を狙っているからその矢が当たる可能性があるし、そもそもお前にそんな腕力あるか!?」
「……そうだったわ、すまん」
「いいっていいって! とにかく足を狙うぞ!」
「ああ!」
小松と三沢は試行錯誤をしつつ、デビルスパイダーに対して攻撃を始めた。
しかし、2人が攻撃しようとした瞬間、その攻撃を見越していたかのように、デビルスパイダーは前足で2人を振り払った。
2人は吹っ飛ばされ、ダンジョンの壁に叩きつけられた。
「翔琉! 愁!」
吹っ飛ばされた2人を見て、羽田は叫んだ。
「……羽田さん、次の攻撃!」
「あ、うん!」
(小松さん……三沢さん……)
岩国は2人の心配をしつつ、羽田と共に、次の攻撃に備えた。
「2人とも! 俺は大丈夫だ!」
小松は剣を杖にし、立ち上がった。
「いってー……やっぱ強いわ、こいつ」
三沢も震えつつも、立ち上がった。
「愁! 金剛が来るまでにここは頑張るぞ!」
「いや! ここは俺たちだけで倒して奴に目にもの見せてやろうぜ! 翔琉!」
「……おう!」
小松と三沢は再び構え、デビルスパイダーに突撃した。
「いくぜ! 愁!」
「おう!」
四人は、鍵スキルの仲間を待ちつつ、戦いを続けた。